西置賜では獅子彫りが江戸時代以前から受け継がれてきたが、木彫に絶大な威力を示すチェーンソーの
登場は戦後昭和の後半だろう。それ以前は伝統的な建築大工道具ノコギリやナタ、チョウナ、ノミを使用
していた。これらの道具は今、忘れ去れつつある。
槍カンナ
以前から、昔の獅子彫りは何を使って制作していたか考えていた。長井市九野本の獅子彫り小関久蔵氏は
生涯39頭を制作したと云う資料を見たことがある。何年かけて39頭を制作したかは不詳で、現代の制作
方法と比較することは難しい。
曲線を削る槍カンナ
原木の調達方法に関しての記述は見当たらないが、木地の奉納したと云う記名がある事から、材木商や膳
椀等の木地師に調達を依頼する手段があっただろう。専門家は立木を見て、家のどの部分の柱や梁に使う
か見極め判断したと云う。伐採してから奥山から運び出し、獅子頭サイズにするまでの工程も手間暇と労
力、お金が掛かっただろう。里に住めば獅子彫りは誰もが出来ない仕事だが、飯豊町中津川小屋に居住の
渡部享氏や太田康雄氏であれば、木地の入手は簡単だったろう。
平面用の手斧
臼彫手斧
さて、獅子彫りの為の道具コレクションを出してきて、検証を始めている。
前回にも臼彫りちょうな、を使って獅子木地の内部を削り出してみると驚く効果があった。
その他に四種類の槍カンナや、台が丸い反りカンナ。梁などを仕上げる建築用のちょうな、桶屋の道具で
曲線を削るカンナ等骨董品の道具が様々出てきた。その古道具をどう獅子頭の制作にどう駆使して使うか
検証している。乾燥した材では難しいが、生木の状態だと削りやすく使いやすい。新たな戦力になりそう
である。
この記事へのコメントはこちら