4月から久々の投稿である。
10月から獅子頭制作用の柳伐倒準備の為に野川の上流河原沿の私有地に通っている。
昨年訪れた時は既に30cm程の積雪があり来シーズンに持ち越したのだった。
知人から大柳と並ぶ知人の写真が送られてきた時は、幹の太さに驚いたものだ。直径
1mはあろうか? 横になった大木の丸太切りには慣れていたものの30m程の立木を倒す
となると話は別であるが、山仕事に慣れた知人が伐倒担当する事になった。
現場に訪れて柳を眺めると巨大である。黙して語らず・・巨大さが我々を威圧してくる。
畏敬の念を抱きながら周囲の周囲の細い灌木や伐倒に障害になる立木の伐倒が始まった。
先ずは隣の、すらっと伸びた柳を倒す。その姿から獅子頭木地には使い難い「ドロブ柳」
と見立てていたが、切り口をよく見ると其れではなく使える柳に見えた。柳の種類は詳
しい資料が無く獅子頭彫刻に使える柳(仮称獅子柳)とドロブ柳、枝垂れ柳ぐらいなの
で更に調べる必要がある。
目的の獅子柳のすぐ側に土手の様な道路があり、そちらに寄せて伐倒する事に決定。
以前、西高玉稲荷神社の一対の獅子頭を制作する際、地区の上流河原の立木を選び伐採
を立ち会った。この時もかなり巨大な柳で、もの凄い音を立てながら倒れた記憶が蘇る。
最初に倒す方向側に「受け口」「追い口」という角度30〜40°の切れ込みを作り、反対側
から10cm程上から伐っていく基本的な伐倒法で行った。
チェーンソーのバーが柳の幹の半分に来た時からバキバキと繊維が断裂する音を発し、幹が
ゆっくり傾くと共に凄まじい悲鳴と共に地面に伏した。枝の太さや量を見ると相当な重量を
幹が支え、強風や積雪に耐えバランスを保って立っているのだろう。
そのバランスを断ち切られると、なんと脆く儚いものだ。
一つの命を断ち切ってしまったという罪を感じながら、道を塞いだ枝を処理する。その命は
多くの新しい獅子頭に生まれ変わるだろう・・などと人間の身勝手な諸行を肯定しながら帰
路につく。
平山と九野本の集落はすっかり稲刈りも終わり柿の実が色づいて初冬の佇まい。青空に映える
イチョウの葉の眩しさよ。
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