今年夏にかけて飯豊町椿の熊野神社の現役獅子頭の修理を行なった。
今日は、その前代の獅子頭があるというので、所蔵する椿の長沼次郎左衛門家に地域支援員の
方と取材にお邪魔した。
床の間には獅子頭安置の棚があり、修理で見慣れた昭和30年川西町小松の佐藤太蔵氏の獅子と
ガラスケースに収められた目的の獅子頭が並んでいた。
地域支援員の方には、飯豊町の椿地区周辺の取材の交渉をお願いして多くの成果を生んでいる。
目的の獅子頭の詳しい写真も戴いて下準備も出来ていたが、実際に検分し作者や年代を確認した
かった。
記名は無いが獅子頭の作者は、やはり明治初期の伊藤彦右衛門氏の作と思われた。彦右衛門氏の
獅子頭は総宮型で、八方睨みの眼球、雨どい型の耳、唇の厚目のラインなどの固有の作風が見ら
れ、小白川才頭神社の小獅子と類似していた。彦右衛門氏の総宮型の獅子は、制作年や神社によ
って様々な表情を見せている。彦右衛門氏は文政11年(1828)生まれ、明治41年(1908)80
歳にて没。この獅子頭のイメージから2011年9月小国町白子沢神社所蔵の獅子頭のタテガミを植
毛した事を思い出し、写真を確認すると彦右衛門氏の作と判明した。現在、飯豊町内外17寺社の
獅子頭に彦右衛門氏の作風を確認している。
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