獅子頭の材料となる柳にも様々な種類がある。
縁あって小国から「どろぶ柳」を入手した。
根元の直径75cm 長さが430cmと直径60cm長さ2mの二本である。
葉っぱは先が尖って、街路樹で見る枝垂れ柳より細かいのが特徴だ。恐らく柳の種類は何十種も有るのだろうが
細かく調べるまでには至っていない。以前、二度仕入れて使ってみた事がある。
どろぶ柳は、一般的な河原の柳を比べると真っ直ぐで樹高が有り、木肌は白く年輪に気孔が有るのが目印である。
丸太を切ってみると、外側の生きた組織の白太と芯の周りの赤太との色の差が少ない。一般的な柳より粘りが無く
パサパサして淡白な感じである。
11月に入り、気温もグッと下がり初雪の気配を感じてきたので4mの丸太を何とかしなくてはならない。
この丸太入荷の前にも、2mの柳と二本の桐の丸太が入ったので、どろぶ柳を三人で山分けする事にした。
今日はそのお一人に丸太捌きの応援を依頼した。
一人で重いチェーンソーを操り、丸太を移動させる仕事は結構重労働である。
そんな時、テコになる昔の道具が活躍する。
正確な名前は不明だが、調べてみると「木回し 木廻し」とか「丸太転がし」「引っ掛け」「鍵てこ」
西洋では「フェリングレバー」という似た用途の道具があった。その中でも「鍵てこ」が相応しいような
道具名である。これは飯豊町小白川の獅子彫師 故五十嵐藤二氏の遺品を頂いたもので重宝している。
その他、大きなノミのような「皮剥き」。チェーンソーでの丸太切りの際に、皮剥きをして樹皮に付着した
小石を噛んで切れ味が鈍くなるのを防ぐ。
チェーンソーのバー(刃渡り)の長さは60cm。重量も15kgもあるだろうか。力は入れず、その重さで切っ
ていく感覚で、みるみる丸太は捌かれていった。
獅子彫り修行のMさんも、大型チェーンソー操作は経験が浅く、最初はビビリ気味だったが次第に慣れてきた。
今回は丸太を7分割に切った作業で終了。次回は芯から切って木取りの作業に入る。
秋の日はつるべ落とし、4時過ぎると薄暗くなってきた。
チェーンソーの爆音で熊や猪たちも肝を冷やしているだろう。
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