昨年秋から約半年をかけて獅子頭の塗りが完了した。
遠藤森助の作(1818年)をモデルに制作し、漆塗りは江口漆工房に依頼した。
この独特の風貌の獅子頭は近辺の獅子には見られない塗りの技術が秘められている。
飛び出した眼には赤く血走った漆が塗られ、破損と修理の際に複雑な色合いになっ
ている。その状態を理解した上で、仕上げた金箔の上に透けた飴色の漆を塗り重ねる
白檀塗りという技法で森助獅子の再現に挑戦した訳である。夜の暗い場所で金箔のギ
ラギラした反射とはまた違った、鈍い重みのある反射効果を期待したい。
金箔を押す前
金箔が入り眼を書き入れる前の獅子
眼が書き入れられた獅子
またブロンズ金で塗られた森助獅子の眉を金箔で仕上げ、固定されていた耳を取り外し
型に改良した。逆に取り付け型の舌を固定式にしている。舌がどういう訳で後付けにな
ったか不明であるが、破損した際に、そのまま紐で取り付ける習慣になったのでは無い
だろうか。耳の下の大きなベンガラ色の巻毛も本来ならば眉の同様、金箔を押すべきな
のだろう。新調された当時、この部分も金箔だったとすれば随分煌びやかだっただろう。
次の工程はタテガミを植毛し、いよいよ完成であるが表情の半分は白いタテガミに覆い
隠されてしまう。
彫師塗師の制作の苦難の跡は白いベールでボカすのも伝統なのである。
飴色の透き漆が塗られ完成
鼻筋にも毛穴がありタテガミが鼻筋の起伏の彫りを隠すだろう
眉の線彫りや目玉の彫りが深く、彫り塗り共に苦慮した部分
塗りたての獅子頭と試作の獅子頭木地
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2023.05.26 (獅子宿店主)コメントありがとうございます
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