飯豊町の若宮八幡と豊中稲荷の獅子頭

  • 飯豊町の若宮八幡と豊中稲荷の獅子頭
飯豊町は中地区の同所の豊中稲荷神社と若宮八幡神社の獅子頭が当工房に入院中である。
中地区は長井市と飯豊町の境なので、総宮神社系の黒獅子で、南に進むにつれ飯豊町独特の諏訪神社系の黒獅子に
変化していく。


左が小関久蔵氏の作 右 竹田吉四郎の作


豊中稲荷神社の獅子頭は明治期の小関久蔵氏の作で記名は無く、若宮八幡神社の獅子頭は昭和初期の竹田吉四郎の
作と思われる。両氏は長井市九野本出身の獅子彫りの師弟の間柄である。小関獅子竹田獅子はいくたびか破損し修
理を重ねて獅子舞に用いられてきたが、あちこちにひび割れが見受けられるようになり偶然揃って改めて大修理す
ることになった。



師匠の小関氏の獅子と竹田氏の獅子と並べ見比べると、最初は同じ様な表情に見えても、暫くすると個性の違いが
見えてくる。やや角張っている耳は、竹田氏。眉や目の造りが大きい小関氏。鼻の頭がずんぐりしている竹田氏の
作。歯の反りや歯ぐきの作り方も両氏違う。鼻の穴がハート型なのは竹田氏の獅子が小関氏から受け継いだ形を竹
田氏が強調しているのが分かる。




総宮神社の獅子頭を小関氏は明治28年、竹田氏は昭和3年に両氏が制作している。
両氏の獅子は共に、自らの彫り塗りの技術を共に最高の完成度を見せている。特に竹田氏の獅子は歴代の獅子の形
を継承しつつ、洗練されたフォルムを見出して造形し、竹田氏独特の獅子頭を生み出すことに成功している。

日が長くなり明るい庭を背景に、獅子彫りの先駆者達の獅子を眺めながら晩酌できることは何よりの幸せである。
すると「早ぐ治してけろず」と眺めていた獅子達がポツリと呟いた。
2020.05.26:shishi8:[コンテンツ]

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