ひょんな事から小山沢七星(しじょう)神社の黒の垂れ耳の獅子頭について情報を聞きつけた。
知人の神社総代の方に連絡を取ってみると確かに、そのお宅に垂れ耳の黒獅子が所蔵されていたのだ。
現在例祭で獅子舞に用いられている獅子頭は、以前修理に来てた。その獅子頭の見事な造形に惚れて
直ぐにレプリカの獅子頭を作らせてもらったが、まさかその他にも獅子頭が存在していたとは・・。


写真を送ってもらうと驚いた。米沢市芳泉町文殊尊に伝わる獅子頭と瓜二つだった。
文殊尊の獅子頭には塗りの際の記名が残されていて 明治七年 東町の嶋屋新兵衛とあったが彫り師の
記名は無かった。塗り替えされた時の記名の可能性がある。

米沢市芳泉町文殊尊の獅子頭
文殊尊の獅子頭は特徴的な顎の造りで、一枚板の厚みの部分に穴を開けて栓を突っ込んで口の開閉をし
ている。その作り方は白鷹町萩野の獅子頭と同じであった。

米沢市簗沢の八雲神社の大獅子に記名が有り 笹野の源右衛門の作とあり萩野の獅子の作者では無いだろ
うかと推測している。垂れ耳の黒獅子も同じ顎の構造なので同じ作者の可能性がある。簗沢八雲神社の
獅子頭には安永六年(1777)と記名が残され243年前に作られた獅子頭である。
小山沢七星は同所に立岩神社があり、合祀して立岩七星神社と呼ばれていて、地図を見ると七星神社から
南の山に位置している。立岩神社は「金山比古命(かねやまひこのみこと)金山姫命 倉稲魂命」を祀って
いることから近くに鉱山があったのだろう。柳沢の八雲神社も同じ様に鉱物資源で繁栄した時代もあり、
垂れ耳の黒獅子は上杉藩時代に米沢の彫り師に作らせ奉納されたのだろうか? 総代宅には古文書などは一
切残されていない様で残念だが謂れは分からない。後日、立岩神社に訪れてみようと考えている。
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