獅子頭を木材乾燥機で・・・

  • 獅子頭を木材乾燥機で・・・
制作中の2獅子頭を木材乾燥機で強制乾燥する試みを行った。
柳の生木から制作した獅子頭を1ヶ月程自然乾燥したものを乾燥機で2週間かけて乾燥してもらっ
た。住宅用の柱や梁の構造材用の施設の隙間にお獅子2頭を滑り込ませて貰ったのだ。

こちらの企業様もお獅子を乾燥機に入れるのは初めてで、割れやヒビの発生や不具合についての
発生は保証できないという前提であるが勿論承想定上の事である。弊社では振り獅子(神社例祭用
の獅子頭)はFRP・強化プラスチックにて補強をして仕上げるので多少の割れヒビは支障ない。




乾燥機は先ず高温で蒸し上げ、時間をかけ徐々に常温に戻すシステムである。乾燥後の獅子頭木地
は予想通り中心から反り上がって、時間をかけた自然乾燥と同じ状態だった。2頭ともに持ってみ
るとスッと軽くなった感覚である。

乾燥前と乾燥後の重さを比較してみるとAは7月21日現在で5.3kgから8月3日4.6kgと700g減、
Bは4.6kgから4.1kgと500gの減だった。(耳も外した重量)含水率は乾燥前が13%から1%に
激減している。




乾燥機を拝見すると、一緒に乾燥処理されていた木材がまだ入っていて、壁には木材のタールや
樹脂が付着していた。高圧高温の蒸気で木材の樹脂分が抜け出て蒸留され付着しているのだろう。
確かに乾燥後の獅子頭木地を削ってみるとサクサクして、なるほど木材の精が抜かれた状態にな
り乾燥前の粘りが消滅した感じだ。そして柳の匂いが無くなり、杉の良い香りが漂ってくる。
強度の変化はどうだろう? 粘りが失われたと同様、強度が弱くなった可能性があり心配だがFRP
・強化プラスチックの補強で補えると考えられる。



Bの獅子頭は左側かどの歯が特にねじれ顎と合わせると、めくれる様に変形している。部材や部材
の位置によって獅子頭が自然乾燥が進むと同様な事が起きた経験があり困惑した経験がある。強制
乾燥によって塗りの前に、このねじれや変形が完了してもらえると大変ありがたい。
今回、初めての試みで、今後どんな問題が起こるのか不詳だが、今後2頭の制作を進め経過を見守
りたいものである。

2020.08.03:shishi8:[コンテンツ]

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