庄内酒田系の小獅子

  • 庄内酒田系の小獅子
幅13cm奥行き14cm高さ9cmと手のひらサイズの獅子頭が入荷した。








小振りの獅子頭でも彫りは緻密でプロの技である。特に正確な目の輪郭の彫りのキレが素晴らしい。
両耳は欠損しているが、庄内系の獅子頭の耳は修復可能で支障なしである。内部に陰刻記名が残されていて
獅子頭の価値を高めている。アゴ側の歯には鉄板が取り付けられ、頭部側は鉄板が欠損後に太鼓鋲を取り付
けられている。




記名は見えにくいが、「天保◯年 ◯川 藤治郎」と作者名が読める。
獅子宿のコレクションに数点同様の庄内酒田系の小振りの獅子頭を所蔵していて、顔付きや後ろの持ち手の
様式が共通し、後ろの木口に横一文字に角棒を取り付けている。




気になるのは、飛び出た目の瞳孔部は後から取り付けたもので、庄内酒田型の特徴でもある。長井市歌丸の
天保9年の獅子頭の瞳孔と共通している事に気づいたからで、長井市近辺の獅子頭には他に無い作風である。
作風から長井宮村の大工 高橋小平衛の作と推測しているが小平衛の生い立ちについては一切不詳で庄内酒田
との関わりを匂わせる作風を感じ、この獅子頭を購入する決断をするきっかけになった。


右下が入手した獅子頭


左下が入手した獅子頭と庄内酒田系のコレクション

この獅子頭の寄り目がちの瞳と向き合って、何か語ってくれないかと固唾を呑んで凝視している。
2020.07.28:shishi8:[コンテンツ]

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