東大塚のお獅子制作

5月から7月にかけて獅子頭数頭を並行して制作し、その合間をぬって修理と塗りを行なっている。

その中でも一番苦手な仕事は、塗面の研ぎの工程である。水研ぎ用紙ヤスリを二つに折って研ぎ続けると
指紋が無くなり指の皮も薄くなり血がにじむ時もある。最近はゴム手袋をして研ぐ事を習慣にしているの
で、指の皮膚の研磨も無くなった。





東大塚の獅子頭のモデルは前にここで紹介したが、宮内の菊池熊吉氏である。熊吉氏の獅子頭は小振りだが
睨みの訊いた良い獅子で、羽山神社の役員衆曰く、この獅子に愛着が強いのだそうだ。この獅子頭が活躍し
た時代は小学生の頃で、旗や提灯持ちをしながら荒びる獅子を目の当たりにして目に焼き付いているのだと
いう。こちらの獅子舞は置賜一荒々しく、一度拝見しているが表現に言葉詰まる程である。ご時世に合わせ
最近の獅子舞はだいぶ大人しくなったと聞くが、昔の獅子舞の面影を残す貴重な獅子舞なのかも知れない。
獅子舞で起こったトラブルや因縁は次の日には残さないと言うのが伝統というのも、荒々しさを物語る慣習
だろう。今回の制作の為、先走りして3頭を制作したが、役員の方の獅子頭進捗検分で3頭目に落ち着いたの
で一安心である。






私が制作した一作目は西大塚薬師堂の獅子頭を二頭制作した時の一つで、熊吉氏の獅子頭とは違う黒獅子で、
今回は熊吉氏の獅子をモデルに1.2倍に拡大した。現在乾燥のため、店の縁側に安置しているが、雨が続き
乾燥は緩やかで順調である。しかし、納期の関係で余裕を持って制作を進めたいので、人工乾燥を検討して
いる。加熱と温風で2週間をかけて木材の乾燥を促すシステムらしい。2ヶ月前まで葉っぱの生えた丸太だっ
た獅子頭なので、一か八か試してみるしかないだろう。多少のヒビや割れはFRPで充分補う事が可能である。



2020.07.16 09:30:shishi8:[コンテンツ]