東京のイベント参加から帰ると家内中が風邪で最悪な状況だった。
特に吐き気を訴えて泣き叫ぶ孫の阿鼻叫喚。先日の団子下げで祈ったむ美容息災の願
いはまだ通じなかったようだ。
東京シシマイコレクションフォーラム2020の打ち上げ後、ホテルに向かう途中、急
激な悪寒に襲われた。一晩熟睡すると震えも治り、風邪薬で19日の東京ではしのげ
たのだが自宅に帰ると歩き疲れの影響も加わり、また熱が出た。
18日朝赤湯を出発しイベント会場の上野公園内 東京文化財研究所へ。鶯谷駅から10分
程の歩きであるが、それだけでも田舎人は如何に普段歩いていないか思い知る。
会場は著名な建築家が設計したと思われる建物で重厚である。数日前に送った展示用
の二頭が届いていて、早速梱包を解いて準備した。既に沖縄宜野座村(ぎのざそん)や
長野飯田伊那谷の獅子頭が鎮座していた。沖縄の獅子頭は会場正面に対し、右手を向か
せて置かれていた。後で話を聞くと東に向け置くのが決まりだそうだ。
長野飯田
富山射水
沖縄
第一部
1.研究所の久保田氏のレクチャーで映像を観ながら「シシマイを知る」
2.プレゼンテーション「地域のシシマイ文化~伝承者から」
①山形県 長井の黒獅子 渋谷正斗
(山形県長井市/獅子宿・獅子頭製作)
②長野県・南信州伊那谷の屋台獅子・神楽獅子 戸崎 敬・近藤竜弥
(長野県飯田市/南信州獅子舞フェスティバル実行委員会)
③富山県・氷見~井波の百足獅子 大島信彦
(富山県高岡市/獅子魂プロジェクト事務局)
⓸沖縄県・沖縄の獅子舞 島袋拓也・大城王希
(沖縄県宜野座村/創作エイサーLUCK)
第二部 トークセッション「獅子舞を語る」司会 小岩秀太郎(縦糸横糸合同会社)
コメンテーター
①シシマイの映像表現 高平大輔(映像クリエーター)
②中からみたシシマイ 菊池和博(東北文教大学短期大学特任教授・民俗芸能)
③外からみたシシマイ 鈴木涼太郎(獨協大学准教授・観光学)
森 善之 (写真家/『ジャパングラフ』編集長)
第3部 「シシマイに魅入る」フリータイム:シシとのふれあい(ロビー)
・・・という興味深い内容ばかりだった。
一部のプレゼン最初に登壇させてもらったが、長野・富山・沖縄という著名な獅子舞の立
ち位置の中で、長井の獅子舞はまだまだ無名ある。長井の獅子舞の魅力を、なんとか持ち
時間の15分内でアピールしたが、100名ほどの参加者の方々に如何に伝わったのだろうか?
主催者側からの情報では参加者は獅子舞関係者や実践者がほとんどで遠方 広島や香川、愛
知からも参加され全国規模だった。しかも若い女性の姿が目立つ。フリートークでは伝統芸
能における課題として創作芸能や女人禁制の話が論議された。
伝統芸能に対する海外の国家予算の比較について菊池先生から紹介され、日本と他国のフラ
ンスや韓国と比較すると格段の違いがある事に改めて驚かされる。パリのケ・ブロンリー美
術館からの黒獅子頭買い付けもうなずける。
ロビーでのフリータイムではおのおのの獅子頭を展示し参加者たちが獅子頭を持ったり質
問を受けたりする時間があった。同時にプレゼンで発表された「沖縄創作エイサーLUCK」
や「富山射水の獅子絵田獅子方衆」の迫力ある獅子舞パフォーマンスを披露していただい
た。また埼玉久喜の獅子博物館の全国の獅子舞資料展示や東京で活動する讃岐獅子舞応援
団のグッズ展示も行われた。私自身も獅子バカを自称する身だが、全国から私以上の獅子
バカが集まり圧倒されるばかりである。
私のブースに若い女性が興味津々に獅子頭を見つめている。話を聞くと獅子頭を制作を始
めた現役美大生で、現在制作している岩手の獅子踊りの獅子頭の写真を見せてくれた。
井波の獅子頭彫刻をされている方ともお話ができた。今回の企画は獅子舞が中心の話だっ
たが、別の機会に獅子頭作り側の話を聞いてみたいと思った。全く違う視点や発想による技
法が聞けるかもしれない。この企画を通して登壇者たちの獅子舞に対する熱意は会場に伝播
し、それぞれの地域に新しい形で伝播するだろうと信じている。素晴らしい企画に参加させ
ていただき心より感謝している。