獅子踊り衣装の羽根ミノの制作である。
獅子頭の後ろに、特殊な黒い鶏の尾羽を取り付けるのが伝統の形である。羽根は一見すると黒であるが、
光り具合で緑や青みがかった艶がある特徴である。
羽根ミノの取り付け。半円形の針で縫合
羽根蓑(ミノ)と勝手に名前を付けているが、正式な名前を知らない。
張子や木製の獅子頭にも超軽量の羽根を付けてタテガミとしている。黒尾羽が手に入らないと、キジや
カラスの羽根を用いている様である。
古いミノと比較
今回の獅子踊りの衣装は小松豊年獅子踊りの古いモノで、現在は中学生が御下がりして使用している。
だいぶ、老朽化して羽根も少なくなってきたので羽根ミノだけ作り直しを依頼された。昨年は羽根ミノを
縫い付けている布がボロボロになってしまったので、裏に布を貼り付けて補強した。また、張子の獅子頭
の鼻先が潰れたので、内部に強化プラスチックで固定し補強して修復している。
火の輪を潜る際に地面に激突したと思われる。
舟渡獅子踊り
以前取材した、小国町の舟渡獅子踊の羽根ミノを見ると、生成りの麻黒に尾羽と青苧や麻などの植物系の
繊維状のものが取り付けられていた。麻は魔除けとして取り付けられたのだろう。
梓山上組の獅子踊り
綱木の獅子踊り
米沢の梓山の獅子踊りや綱木の獅子踊り、他の置賜の獅子踊りと比較してみると面白い。
目に銀箔が張られていて眼光鋭く迫力がある。
以前ご紹介したが、小松豊年獅子踊りの古い獅子頭が保管されていて、意外にも獅子頭が朱色である事に
驚く。現在、県内の獅子踊りはほとんど黒に塗られていて朱色の獅子は他に記憶に無い。その理由は一切
残されていない。
朱色の獅子頭と同所に私が制作した、張子の獅子頭の木型が残されていた。現在用いられている獅子頭は
この木型に和紙を張り漆で固めて仕上げたものである。この型は今回修理した獅子頭をモデルにして彫っ
たものと思われる。
朱の獅子頭で踊るのも見てみたいと思うのは私だけだろうか?