村上から高速を降りて夕闇迫る小国町に入った時だった。突然、最近身に付け
た獅子舞レーダーなる物が反応し、警報を鳴らし始めたのである。「獅子舞の
気配がする」との呟きに車内は疑わしい雰囲気が漂ったが、間も無く祭りの賑
わいを目撃した。警報は現実のものになったのである。
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直ぐに車を停め、灯りに集まる蛾の如くワサワサと祭り会場に向かった。
以前小国町の獅子舞を調べた時、町内に二、三ヶ所獅子が存在する事を思い出
した。祭り会場はこれからカラオケ大会らしいが、子供達が目立つ。
事務局らしい方々に聞いてみると、神輿と獅子が別々に町内を練り歩いている
らしい。急いで聞き耳を立てて、指示された方向へ向かうと神輿を目撃した。
小振りだが重そうな神輿を4人で担いで歩いている。所々の家の前に、提灯が
下げられ祭りの臨時休憩所になっていた。住民が集まり神輿や獅子を待ち、賽
銭やご祝儀、獅子にお神酒をあげる場所なのだろう。川西町小松の諏訪神社や
新山神社、その他浮島神社の例祭でも目撃している。
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どんどん暗くなった街並みを、黙々と練り歩く神輿集団。世話役の方に、獅
子一行の位置と神社位置、スケジュール情報などを聞いて獅子の位置に向かう
と、お囃子が聞こえてきた。近づくとトラックにスピーカーをつけて流してい
る。直ぐ前に3人4人の祭り衣装を着て宇津権九郎型の獅子頭で頭噛みのお祓い
をしていた。かなりお神酒が入って絶好調だが獅子舞は無く、門付け獅子回り
の様相だった。これから神社に戻って宮入というので、急いで神社を探して見
渡すと、すぐに山際に提灯の明かりが見えたので向かう。急な階段が200mも
あっただろうか?苔生した石段を息を切らせて登っていくと意外に大きな社殿
があった。先に、石段をお神輿が登ってきて、その後に白い木製の神馬(しん
め)が重そうにあとを追い、最後に獅子の一行がワイワイ言いながら到着した。
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皇大神社で白い神馬を見たが八幡神社では初めて
神輿は拝殿前の石段を勢いを付け拝殿に収まった。獅子は宮入の前に世話役が
獅子と打ち合わせを始め、その通りに行ったり来たり三度目に拝殿に入って、
力尽き、床に大の字に寝転んでしまった。あの長い石段を登り、更に急な石段
の登り下りは若者達ならではの獅子の宮入だろう。
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豪雪の為か社殿は一つになった構造
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総代の方に獅子頭の事を尋ねると、今回用いた宇津権九郎型の獅子頭の他に、
もう一頭古い獅子頭がある事が分かった。見覚えある若い宮司さんだったので
話しかけると大宮子安両神社の宮司さんで、数年前に古い獅子頭を見せて貰っ
た事があったので私の事を覚えていてくれた。
直会参加も勧められたが、遠慮して帰ったが、図々しく古い獅子頭を見せて貰
えば良かったなと少し後悔している。
小国を抜けて飯豊町に入った。獅子舞の旅の仕上げに黒沢地区の高伝寺境内の
稲荷神社のお祭りに寄ってみた。とっくに獅子舞は終わっている時刻で、演歌
ショーが始まっていたが、随分と人も少ない。人口減少は祭りの活気を奪って
しまったのだろう。