獅子神楽の掛軸
獅子神楽の掛け軸が入荷した。 先日、神楽系の赤獅子の絵図を落札して見ていると、壁に掛けていた獅子舞の絵図と 作風が似ているのに気づいた。今まで作者名は関心も持たずにいたが、今回は模写ながら「英一蝶」 (はなぶさ いっちょう)という著名な絵師らしい。人物の描き方やウェットに富んだ作風が気に 入って手を出した訳である。江戸期の獅子神楽を描いた歴史的資料としてコレクションである。 調べてみると 英一蝶 1652-1724年 江戸前期から中期にかけて活躍した風俗画家。伊勢亀山藩(三重県)藩主石川昌勝の侍医の子として京都に 生まれた。本姓は多賀氏,名は安雄のちに信香,字は君受。絵描きの才能を認められた一蝶は、藩主の命令 で狩野安信に入門するが、のちに破門されたといわれる。多賀朝湖の画名を使ったが,伊豆三宅島配流か ら許されて江戸へ戻ってのち,姓を英,通称を一蝶と改めた。号は狩林散人,翠蓑翁,隣樵庵,暁雲堂など数多 いが,一蝶を名乗ってからは,北窓翁をもっぱら号した。 英一蝶は、江戸時代中期を代表する画家です。狩野派の画風を受け継ぎながらも、市井の風俗を数多く 描き、その絵は人々に愛されました。その作風は本図からも見てとることができます。 門付とは、人家の門前に立って音曲を奏するなどの芸を行う人々のことで、新春の風物詩でもありま した。正月の門付芸としては獅子舞、万歳、太神楽、鳥追いなどが挙げられます。本図には載っていま せんが、とくに獅子舞は、舞いに曲芸や道化の要素をプラスしたストーリー性のあるもので、笛や太鼓 とともに賑やかに正月気分を盛り上げた江戸の娯楽でした。 ・・・とあり一蝶は獅子舞を題材にした絵を数多く残しているようだ。 コレクションの四点の内、偶然ながら三点が英一蝶風の作品だった事に驚いている。 猿の獅子舞は作者不詳
2019.03.02