伊勢大神楽の獅子
素晴らしい仕上がりの伊勢大神楽の獅子頭と思われる。岡山県から 出た獅子頭である。 度重なる塗替えの為か、厚い塗膜が割れてしまっているのが残念だ。 以前、手中に収めた同系の獅子頭と並べて比較してみると作風が同 作者か工房の物と思われる。頭部の盛り上がりは宇津権九郎の雄獅 子と重なる。顎の幅が締まっていて唇のヒダと黒のヒゲが大きく誇 張されている。耳の型も木の葉のようで面白い。金箔が洋金箔で鈍 く塗りの境界線が曖昧な仕上がりが残念だ。獅子頭の右手の持ち手 が取り付けられ口が開き過ぎないよう紐で取り付けられている。 内部は非常に薄く彫り込まれ軽量化され、麻布で補強されている。 コの字型の金具で補強されている痕が浮き出ていて、寄せ木で作ら れ補強している。入荷の際は幕穴に麻の繊維をタテガミにして植え られていたが、撤去したのは言うまでもない・・・。最初は同系の 獅子のように和紙のタテガミだったのに違いない。
2019.06.06