昨年春、納めた神社の二代目渋谷獅子と一緒に制作した、兄弟分の獅子頭が完成して本日納品であ
る。兄弟分とは同じ柳の丸太から彫り上げた獅子頭ということである。

神社の獅子頭を制作する時、木地の都合と所謂お告げのようなものが私の心に囁くものが有り、
複数獅子頭木地を制作する時があるのだ。
不思議なのだが、当時は三頭分制作する木地と精神力と、それを受け止める体力があったのだろう。
奥行き60cm超級の、あんな大きな獅子頭を賄うような柳の素材と出会う事自体が稀な事だった。
厚み2cmも満たない様に薄く彫り込まないと、重くて持てないガサのある獅子頭は成田五十川系の
獅子頭ならではなのだ。

飯沢家では新しい獅子頭を迎える為に、ケヤキ無垢材の台座を新調し、飾り様の獅子幕を貰い受け
、床の間はお手製の提灯で飾り獅子頭を待ち受けていた。
まだ塗り立ての漆の匂いを漂わせながら、無事獅子頭は安住の家に鎮座した。
末永く可愛がってもらう事を祈るばかりである。

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