これは先頃、倒れた古い神社の鳥居の二基の基礎部分らしい。
それには墨で記名がハッキリ残っていて興味深い。
明治24年(西暦1891年)に作られた鳥居で、当時の総代や棟梁、大工の名前が明記されていた。
このように重い鳥居の柱の下で127年の間、風雨に晒されながら重みを支えてきた基礎である。
柱との接続部分が密着していた事もあり、墨書きの記名は昨日書いたもののようである。
まさに当時の棟梁と大工の技術の高さを物語っている。

建設費用も36円90銭とあり、明治24年当時の貨幣価値を調べてみると1円が3800円で総額
14万程になるという説や、一円が現在の2万円に換算して約74万円という説もあり様々だ。
小学校の教員や巡査の初任給が8~9円で1円が2万円と換算すれば納得出来る数字かも知れない。
記名に小出や萩生の職人の名前がある。どういった意向で指名されたのだろうとか、建設費用の
内の10円が一般の寄附から集めたものだったとか分かる。今は使われない様な旧漢字を見るのも
面白いのだ。
獅子頭に残されている記名もそうだが、少ない文字の陰に大事な情報が隠れている事がある。
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