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制作始まる

  • 制作始まる
白鷹町山口の羽黒神社の獅子頭制作が始まった

モデルの古い獅子頭の破損修理も仕上げて完了している

古い獅子とは違い、新しい獅子頭は桐材を用いる事にした

古い獅子頭に幾つか気になる箇所があり、前のブログの話題にしたが

少し見えて来た案件がある




白鷹町の赤獅子の脳天には、タマネギ状の宝珠や長井の黒獅子の額にある様な

百毫状の丸いものあるのだが




しかしこちらの獅子頭の脳天にはタテガミが植えているだけで、あるべき大事なものが無い

制作のため、四カ所のタテガミを植えている穴を改めて見てみた




穴は同じ直径であるが、通常の毛穴にしては大きい事に気づく

この直径であれば、百毫状のコブを差し込む穴の直径にちょうど良い

紛失や損壊や明治始めの修験道廃止令の為など、毛穴に変更しなくてはならぬ事態が

起きたのかもしれない・・・・考え過ぎだろうか



また獅子頭の裏にタテガミを通す穴を隠している部分があり気になる

隠していると見たくなるのが人の常

ココだけの話だが、ちょっと覗いてみた

五センチ角の動物の皮を釘で固定している

祭りが終わり獅子幕を獅子幕から外す時、刃物を使わずロウソクの火で焼き切るという

獅子頭の内部はロウソクの跡が多数滴っている

気遣いの割に随分ワイルドな手法で皮を取り付けているものだ


束ねたタテガミの元が燃えない様にとの配慮なのだろうが面白い・・


四角い皮の中には恐らく皮の付いた馬の毛が取り付けられていた

こちらも誠にワイルドだ



・・・さてと、本日もまたワイルドな獅子頭との格闘だ

2015.09.01:shishi4:コメント(0):[コンテンツ]

稽古始め視察記

  • 稽古始め視察記
29日・・小雨の中、成田若宮八幡神社の例大祭に向けての稽古が始まった

獅子頭新調のために拝借していた、最古の平吹獅子と弊社制作の獅子頭を社務所に搬入した

既に獅子連中はキビキビと準備を始めている

連中の頭は社務所中央に鎮座し、若い衆の指示対応を行っていた

頭はいちいち細かく指示する訳ではなく、若い衆が黙々と段取りして行くのだ

やがて歴代四獅子頭のお清めだ






成田の獅子頭は、いつも綺麗に管理されて見事だ

例祭の天候により、獅子頭を交代させたり獅子舞の前後には清酒で獅子頭を必ず磨く

若い衆達の役目で、獅子頭に対する愛着や獅子頭の破損・・僅かなヒビを見逃さない

徹底ぶりなのだ

私も祭り後に何度も呼ばれ、破損の検証を行っている

小さな破損で発見し修理すれば損害は少なくて済むという管理を伝統としている






拝殿の前にて稽古が開始される

一週間、重い獅子頭を振って出獅子の稽古を行うそうだ

頭に乗せる事無く、主に腕力で7kg程の負荷により筋肉を慣らす
腰を深く下ろし、腕を突っ張る

摺り足で獅子頭の遠心力に耐えながら獅子の早る様を現している様だ





拝殿前は四畳程で、けっして広い場所でないが交代のため若い衆が取り囲み注視する中

先輩の叱咤と激励が飛ぶ

相撲のぶつかり稽古を思わせるような迫力と緊迫感だ



後半になると相撲が立ち、獅子が境内に出る場面の稽古になった

早く境内に出たいとばかりに相撲の左肩から獅子頭が飛び出す所作が独特だ

相撲がまだ早いとばかり押し返す

「あげろ!」と相撲の大声で襟首を掴まれた獅子は境内に放たれる・・・



相撲は今年の春祭りから20数年ぶりで交代した若者であるが、傍目ではもうベテランの

風格と威厳を醸しているようだ

これから成田の名相撲を目指し精進して戴きたい





さて、頭の計らいで秘蔵の品を拝見した


一つは謎の獅子の顎、安政六年の古い獅子幕、車牛の化粧廻しだ





以前から獅子箱に顎だけが一つ残ってあると聞いていた

成田の獅子頭の中に異彩を放つ獅子頭がある

文久年間に作られた梅津弥兵衛と思われる獅子頭だ

今は稽古獅子として活躍中なのだが、小振りで重く風貌が平吹獅子と少し異なる

顎も小振りで重く栃材だろう・・

合わせてみるとやはりサイズや形も似ている

破損の為に顎だけ新しく作り替えられたのだろうと考える




次は安政六年(1859年)と記された156年前の獅子幕である

保存状態も誠に良い・・・継ぎ接ぎを施され大事に修繕された様子が残っている

勿論手縫いなので、大変な手間隙がかかっている




藍染め筒描きの手の混んだ波浪模様も見事である

今は見られない大波や渦巻きの表現も素晴らしい

工藝的にも優れた文化財だ







また昭和初期の獅子幕も見事である  高畠の染め屋の記名が珍しい






獅子頭と共に門外不出の秘宝なのだが、地元や多くの方々にご覧戴く機会を

企画したいものである





最後は車牛の化粧回しだ

牛車と良く間違うのでご注意されたい

毛氈やビロウドや金糸銀糸で作られた本格的な廻しである

伊佐沢神社に伝わる「花筏」の化粧回しを彷彿させる様式だった



稽古を少し早く終えて初日の祝の儀が執り行われた

二十畳ほどの社務所の中央に足を折り畳んだままの会議用座卓を一文字に並べ対座する

座る順番は頭と小頭をはじめ、年功序列ではない獅子連中に入会した順となる


獅子頭にお神酒を供え、一同一礼しその茶碗のお神酒を順に呑み交わすのだ

最後の若い衆にくるとUターンして戻って来て獅子頭に帰る

神社式参拝の二礼二拍手一礼ではなく、仏式の参拝でない所に気づく

獅子舞いは仏教と密接であり、修験道廃止や神仏分離令で引き離されたが

その名残であろうか?

続いて頭、小頭、相撲の順で挨拶があり、持ち寄った肴で酒宴が始まった

いやいや皆様、気持ちよく飲むこと飲むこと

私もお相伴し、その雰囲気に連れ許容範囲以上のお酒を戴いてしまった

久しぶりに酩酊状態・・・

気がつくと夜中一時を回っていて、大の字で伸びている若い衆も数人居る

その中で若い衆が酒の補充や片付けに軽快に立ち振る舞う様子に感心しきりだ



成田のお祭りは獅子舞を中心として獅子連はもとより、総代組織、地域一帯が融合し強く結び

合って継承している様子がうかがえる

個々の獅子舞の稽古を通して精神と身体を高めて行く修行でもある

その中には妙な気負いも無く、互いに信頼し尊重している姿は羨む程だった

長い年月を経て研ぎすまされた成田の獅子舞いの伝統は、変わる事無く最上川のごとく悠々と

流れていた
2015.08.31:shishi4:コメント(0):[コンテンツ]

他人の空似

  • 他人の空似
川西町時田のお獅子がまた再入院だ

五~六年前に治療した時のカルテと一緒に、患者と似た獅子頭の写真が出てきた

どこの神社だか不明だが、ファイルにはugataとあるので宇賀田神社と検索すると

宇賀多神社では?とPCから指摘がきた






三重県志摩市鵜方(うがた)の宇賀多神社の獅子頭と判明

黒い獅子だが実によく似ている! 



細部の違いはあるが全体の構造や表情は瓜二つ

鼻などは正にそっくりである

他人の空似では無いレベルだ

空似の獅子頭の他の獅子にも面白い点がある

縦に並べた写真の真ん中の獅子の獅子の目だ

鳥取の麒麟獅子に見られる笑った様な逆Vの三日月形が珍しい



角のある獅子は府中市の大國魂神社の獅子の角と類似している・・と空似の連発だ





川西で最古の時田の獅子頭との関連は、伊勢参りとの関連があるのではないかと推測



宇賀多の獅子は西暦にすると1723年作とあるので今から292年前、亨保8年だ

あれっ?時田は何年前だっけが?

同じ頃だと面白いのだが・・・追って調査を進める事にしよう


(写真は「志摩つれづれ」地域情報のサイトから転用させていただきました)
2015.08.28:shishi4:コメント(0):[コンテンツ]

秋来れば・・

  • 秋来れば・・
蝉の鳴き声も哀愁を帯びてきて、涼しくなり裸足に雪駄もしんどくなってきた

夜聞こえてくる虫達の鳴き声も震えているよう・・

キチンと季節は巡るものだと感心する昨今だ





八月に入っても伸び悩んでいた奥手の朝顔だが、葉っぱが黄色がかっているにも関わらず

根性で多数の花を咲かせてる

どこから花を咲かせる生命エネルギーが供給されているのだろうか?

は種時期を逸した遅咲きの朝顔は熱い日差しを遮ることなく、やがて短い人生を終える

命とはなんと儚いものだ





ヒマワリも然り

丈は伸び止まりで悲しく、うなだれている様は悲壮感漂う

花が成熟して種が重くなったのだろうが・・




朝一番、修理でお借りしていた法螺貝を届けに西大塚に出かける

吹き口を修理するとナカナカ良い音が出てきた

音色をご披露する♪



こちらのご本尊である虚空蔵尊のお姿を撮影



幸いにも目は潰れなかった


こちらでも以前、修験の修行の為の身を清める行屋なる部屋があったらしい





本堂西側の四畳半程の部屋に籠もり、直ぐ側の清水で沐浴し身を清めたのだという



やはり修験道のなごりはアチコチに隠れている






2015.08.26:shishi4:コメント(0):[コンテンツ]

完了報告会

  • 完了報告会
22日の土曜日、白鷹町の「あゆ茶屋」に不慣れな一張羅の背広姿で向かった。

背広よりダラ桶担いでの、フンドシひょっとこ姿の方が落ち着く・・

猫が服を着せられた時の様にぎこちないのだよ。


今回は狸のお面をモンタージュしてみた


しっかりポケットには祝辞を印刷したA4の用紙を潜めている。

こういったお堅い場の雰囲気に慣れず、ましてや獅子頭のお披露目で何を言われるか不安

という警戒心がピリピリオーラを発しているようだ。






あゆ茶屋さんの二階の会場は低めの椅子で、足が痺れずに宴会出来るように配慮してい

て快適である。

総代長の方、神主さん、町長、教育長と祝辞の順番が回ってきた。

皆様、流石に手慣れていらっしゃる・・と、しごく感心。

まぁ彼らは仕事が挨拶みたいな立場の方々でもあるし、職人の彫り師はこういうのは疎いのが

定石なはずだ!

やはり祝辞の例を元に作文していたので良かった!

獅子彫りのエピソードを中心に、ちょっとヨイショも加えながらナントカ無事に済んだようで

ある。どっと緊張の糸がほどけて緩む。

以前、大失敗の挨拶を経験している。今も思い出すと顔が赤らむのだ・・。

祝辞なんて聞いている方には、左の耳から右の耳が常だなのだが、発して失敗した本人は

心に小さな傷跡が残り忘れられないものだ。



獅子連中の親方と副の方が、獅子頭木地の見分以来この場で初めて獅子頭とご対面だ。







ハラハラの結果は、上々の仕上がりとバランスという好評を戴いた。

古いモデルの獅子頭を正しく伝承出来た様である。


酒つぎの合間に、あゆ茶屋さんの料理を戴く・・・すごく美味いのである。

ご覧戴けないのは残念なのだが、和食の料理はどれも美味しい。

大きな鮎の塩焼きも見事だった。



スピーチに漆負けの話も取り入れ、今年のお祭りは養生というお願いしたところなのだが

どうやら獅子彫り師の願いは否決されそうな雰囲気だった。
2015.08.24:shishi4:コメント(0):[コンテンツ]