30年程前・・修理の際に顎に鉄板を入れたという獅子頭が入院しました
こちらも長谷部吉之助の作と思われる獅子頭・・・この獅子頭は神社が所有している中でも
抜群に軽く、一説では平吹市之丞の作とも伝えられる伝説の引退獅子
今回はその鉄板ギブスから解放し、その素材は何か?という確認の手術を行います
確かに獅子頭を持つと顎がジトッと重く感じます・・こちらの獅子舞いは頭に乗せる事が無く
腕力と全身のバランスで獅子を操る事になりますが、いずれの獅子頭も顎の修理が重なり
重くなっています
顎の底の表面の漆を削ってみます
黄色い麻の布地が現れ、その下から鈍く光る鉄板が見えてきました
ある程度剥がすと隙間にへらを差し込み、芋づる式にめくると一気にはがれてきました
顎の形に合わせてあつらえた25cm平方ほどの大きさ・・3mm厚の鉄板に無数のビスで固定
されていました
いやぁ~このビスを外すのは至難の業
四苦八苦しながらビスを抜き取り鉄板除去に成功です
すると鉄板に舌が一緒に付いてきました 舌も破損し堅木の台座に固定してから鉄板に固定した
様です
もともとの顎の底の厚みは2cmしかなく、これではこちらの獅子舞いの歯打ちには耐えられない
構造です 重なる破損と修理の繰り返しの歴史の跡が見え隠れします
顎の素材はおそらく柳と思われます
この獅子頭は、その軽さから漆を布で固めた作りではないかという説もありましたが
軽量化を重視し薄く彫り上げた獅子頭で残念ながら桐で作られた推測も外れたようです
さてこれから現状に戻す作業になります
興味深いのは先日発見した記名を塗りつぶした、かすかな跡
それを赤外線カメラによる検証を行います・・・この獅子頭の他に幾つか検証したい迷子の獅子頭もあり
出生の謎が明らかになるのではないかとワクワク致します
この記事へのコメントはこちら