忘れ去られたような獅子と目が合いました
制作の為お借りしていた獅子頭を返しに、とある方の玄関に訪れた時です
玄関には獅子頭が二頭置かれていて‥一つの獅子頭と目が合いました
正確には‥目が合ったような気がしたのですが‥訴えるような目だったからかも知れません
その獅子頭は以前こちらの獅子頭制作したとき以来で、大分放置された様子で汚れています
竹田吉四郎作と思われる獅子頭で、昭和初期約80年前の作
顔の真ん中から割れて針金で仮止めされています
鼻筋の裏側が極端に薄く彫られ、それが破損の原因かと思います
既に引退した境遇の獅子頭、毛も抜けなんとも悲惨きわまる表情に
クリーニングを申し出ました‥
もう一つの獅子は南陽市法師柳の佐藤耕雲作で三代目の獅子です
こちらも疲労困憊のまま時間が停止してしまったような表情で手入れが必要でしたが、今回は
一頭だけに致しました
クリーニングは主に表面の汚れを洗い流し、割れの部分は針金を除去し最低限の補強を考えています ほとんど無い毛は新品の毛ではなく植え替えで出た少し年季の入った毛を補充してあげようかと思います
手間のかかるおせっかいです
面白いのは獅子頭の表情です 飯豊の諏訪神社や萩生の獅子に見られるような様式と長井の総宮系の獅子との様式を合わせたような表現になっています
割れの原因の薄彫り・・最初総宮系の獅子を彫り、途中で飯豊系に変更した可能性もあります
さて・・クリーニング後またご報告いたします