獅子宿燻亭2

▼白目有ります

古くて珍しいお獅子にご来訪戴きました

二つの獅子の奥の方・・明治3年(西暦1870年) 今から142年前の作

記名は消されて不明ですが私の見立てでは梅津弥兵衛の作

梅津弥兵衛は長井市大町の指物大工でもある獅子彫り名人

総宮神社の獅子頭を始め、長井周辺の神社の獅子頭を数多く制作している


1878年夏にはイザベラバードが東北を巡る旅で小松を訪れているので

ひょっとしてこの獅子を見たかもしれませんね・・

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この獅子パッと見て驚きました

白目が描かれています!!!

しかも金ではなくて銀箔・・腐食して黒っぽくなっていますが


依頼主に以前・・同町の神社の獅子頭に同じ白目が描かれていた事を

お話しすると・・なんとこの獅子頭をモデルにしたとか

獅子舞もこちらから習ったというお話です


白目有りの獅子頭を診察すると満身創痍の修理跡だらけ

激しい割れと擦過傷・・

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顎も頭も真っ二つの跡が生々しく伺えました

その修理跡をご覧ください

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弥兵衛名人の修理はその指物師の腕を発揮し芸術的

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長井市の草岡の獅子頭を修理した時にも精巧な修理跡と出会った事を

思い出します


依頼主からこの獅子の武勇伝をお聞きしました

とにかく暴れ獅子で、二階から見下ろす町民を見つけると石を投げて罵倒

したり、獅子の道を塞ぐ消防車にはボンネットに獅子頭を叩きつけ凹ませた

り・・川に落ちるのは日常茶飯事

昭和15年のお祭りでは終戦の知らせを聞いて激昂した獅子振りが松の根っこに

獅子頭を叩きつけたとか・・・その真っ二つの割れは、その時の傷だそうです


写真の下の獅子を新調した昭和51年(渡部 亨 作)まで明治大正昭和と100

年以上長く務め上げた功労の獅子だそうです

顔中の傷はその激動の歴史を物語っているようです



さぁ〜今宵は一緒に酒でも酌みあって昔話をお聞かせ下さい





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2012.09.21:獅子宿店主

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