昨年末の完成予定がずいぶん遅れ、お待たせしてまった。
これから記名を入れてもらうので正確には完了とは言えないのだが・・。
今回依頼があり塗師に金箔下地を凝った仕上げをお願いした。
それは金箔を置く部分に一旦、朱を塗り、水研ぎし、下地を作り、次に
溜塗透漆(ためぬりすきうるし)を施し、箔置きという珍しい工程である。
唇の朱を塗る際に歯も一緒に朱にする事はあったが、眼や眉まで朱にする
獅子の依頼は少ないだろう。
確か前回も同様の依頼だったが、堅牢な金箔保護剤を塗布した為に下地の
朱が現れず依頼主には期待外れだったのかも知れない。
二作目はあえて金箔保護剤は塗らないオーダーだった。
金箔の朱にした狙いは、金箔が擦れて朱が現れ、傷を負った様な表情だろうか?
壮絶な邪鬼との争いを終え、神社のお神坂で静かに階段を上る姿を想定してい
るのかも知れない。その効果は来年のデビー以後に現れるかも知れないが、ず
っと先の話だろう。
また、二作目の獅子頭の制作での要望に獅子頭の軽量化だった。
総宮型直系の獅子舞の素早く激しい動きを表現には如何しても獅子頭の重さが
問題になる。一作目は意図的に近代の獅子振り達の身長、体格を考慮して大き
めの獅子頭にしたが、今回は総宮神社最古の獅子頭「寛文11年改」同様の奥行
サイズ39cmに収め、重さは5.6kgという破格の軽量に仕上がった。タテガミ
は全部で98本。ヤク毛の重さは350gと普通の獅子頭の倍の量を取り付けた。
確か一作目は110本と記憶しているが、取り付けてみると少な過ぎず多過ぎず
理想的なボリュームになった。ヤク毛の量や重さは手の感覚で測り、半分に
して片方を根本にする方にずらして逆にする。すると根本付近が膨らんで
先細りとなり自然な毛並みとなる。頬の毛の位置は竹田吉四郎や小関久蔵の諸
先輩は牙の上部に取り付けられているが、自分の位置は牙の前に取り付けてい
る。牙や唇の端の流れを見せたいからである。
最近は下顎の歯に幅5cm、0.5mm厚の透明な衝撃吸収緩和ゲルシートを貼って
金箔の擦れや歯の破損防止を施している。今回はウレタン金箔保護剤は塗布なし
なので貼れないが、木地にFRP補強を行っているので、そう簡単には破損しない
だろうと考えている。
本年の十日町白山神社の5月の例祭の獅子舞には、昨年奉納させてもらった子ども
獅子がデビューし、二作目の獅子頭もお披露目されるだろう。ドキドキと楽しみが
入り混じった瞬間を思い描いている。


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