雪起こし
富山辺りでは「ブリ起こし」とも言うらしいが 晩秋~初冬を過ぎて、本格的な冬の到来を告げるかの様に、 ミゾレや雪を伴った突風が吹いたり、イナズマや雷が鳴る。 この世に生を受けて60年+αヶ月も過ぎているのだが、 今年も、この「雪起こし」が来ると、 あゝ、やっぱ、東北の裏日本に住んでいるんだなあと つくづく思うのである。 どこまでも暗く重たい鉛色の空と、 ゴアテックスでさえ役立たずになる程の ミゾレや高湿度の雪を伴う荒れ具合なのだ。 短時間かも知れないけど、これをとりあえずなんとか凌げるのは、 男なら、厚く重たいウールフェルトのマント。 女なら、笠や蓑の代わりにすっぽり被れる程の 大きなウール地のストール位かも知れない。 今なら、せいぜい本物のダッフルコートかなあ??? ま、現実的には、今は良くも悪くも車社会なので 運転に注意さえすれば問題はあまりないのだが、 そう言ってしまうとお話はここで終わっちゃうのだけど。。。 さてさて、風景は色彩を失い、全てが鉛色というか、 とてもダークなグレーブルーのグラデーションに変わるけど、 その反動かどうなのか知らないけど、 心象バーチャルイメージは、ネプタの祭りの様な ハードなビビットカラーが支配したり。 そして、この「雪起こし」という特別な気象条件は、 いつもはどっかに置き忘れている棟方志功の世界や 斎藤真一の瞽女の絵などを、一時だけ蘇らせてくれるのである。 っと、 ここまで書いてつくづく思うのは、なんか…どうにも....、 前世紀のヒトの書く内容だなって事だ。
2015.12.05