精のノート
▼マダリソの思い出 グリルドア
ザンビアは僕にとっては非常に過ごしやすく治安もいい。
ただ、治安が良いというのは他のアフリカの国と比べて相対的に良いということであり、治安そのものが良いと言うことではない。
日本大使館に勤める友人によると、外務省では国の住みやすさ、治安の良さなどを考慮し、国ごとにレベル分けしているそうだ。
それによるとザンビアはレベル4。一番ひどいのがレベル5でそれらは現在紛争などの影響があるシエラレオネやスーダン、コンゴなどがそれにあたるらしい。
ということはザンビアは僕らが考えていた以上に危険な国だったのだ。
実際僕が派遣される前、隊員の家に武装強盗が侵入し、足を打たれるという惨劇があった。このことは大事件として今もザンビアにいる在ザ邦人の間で話題にのぼり、忘れてはいけないこととして我々の安全意識を高めていた。
そのため、我々が住む家のドアにはグリルドアが、窓にはグリルバーなどというものが取り付けられている。
これらは鉄製のバーで、窓やドアからの侵入に備えて格子状に取り付けたものだ。
これがあると例え窓ガラスを割っても、ドアを蹴破っても、鍵を開けても侵入できないと言うわけだ。
もちろん我が家にも取り付けられており、僕が入居してすぐ安全管理を担当する人がチェックし、不備な部分を補強した。
最初はこれにとても抵抗があった。
鉄格子そのものはいいのだが、それが取り付けられているということに気の重さとこれから住もうとする社会の暗い部分のようなものを感じたからだ。
しかし、そうはいってられない事件も起きた。
なんと任期中、後輩隊員の家に強盗が侵入し、持ち物全て取られるという悲しい事件が起きたのだ。
その強盗はなんと道具を使ってグリルドアを壊して侵入したらしい。
そこでさらにグリルドアについての規定が厳しくなり、全隊員の住居がさらに堅固な鉄格子で補強されることになった。
一見するとここは牢屋かはたまた刑務所かと思われるような外観になってしまったがせめてものということで、僕は白く塗ってもらった。
これが僕の安全を守ってくれるのだと言い聞かせ、日々グリルドアに頑丈な二つの鍵を掛けるのであった。
写真は補強前のグリルドア。
事件後これにさらにバーが付け足されていった。
画像 (小 中 大)
2009.11.02:sei36
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