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▼強い馬のうしろ姿がまた強い馬を生む

最近、つくづく思うのは、「強い馬とは、追っても追っても追いつくことができなかった馬のうしろ姿を追いつづける馬」だということだ。

例えば、近年最強と言われるテイエムオペラオー。彼の連勝街道の始まりは、99年の有馬記念の3着敗戦から。ゴール前、彼の前で死闘を繰り広げていたのは永遠のライバルと言われたグラスワンダーとスペシャルウィーク。翌年のオペラオーは彼らのうしろ姿を追いつづけるようにG1を連勝していった。

また、その有馬記念を制したグラスワンダーも、その時、同じようにある馬のうしろ姿を追いつづけていたのかもしれない。それは、前年の毎日王冠。同期で、後に凱旋門賞2着にまで上り詰めるエルコンドルパサーと共に、一生懸命追いつこうとしていたのは、ある逃げ馬のうしろ姿。一度も前に行くこともできず、追っても追っても追いつけなかった。その馬は最後の最後まで彼らのはるか前を走っていた。

希代の逃げ馬サイレンススズカ。近年のスローの4角ヨーイドン競馬の中にあって、競馬のシンプルさ、醍醐味、そして何より、「強い馬とは何たるか」ということを思い出させてくれた馬だった。正直、他のどんな名馬よりも強烈に記憶に残っている人は多いと思う。

エルコンドル、グラス、スペシャル、そして、オペラオーへ。最近、彼がターフを去ったのは、このためのような気がしてならない。次の世代に自分のうしろ姿を追わせるために。そして、その彼らのうしろ姿を、また次の世代に追わせるために。
2004.06.22:えのっち

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