日本最大級の国民的作家、森村誠一さんの講座に参加!

  • 日本最大級の国民的作家、森村誠一さんの講座に参加!
4月27日の春爛漫の日、午後から友人と一緒に「小説家(ライター)になろう4月講座」に参加しました。

この講座は1997年4月、直木賞作家である髙橋義夫さんを講師としてスタート。その後、山形市在住の文芸評論家・池上冬樹氏が講師兼世話役を引き受け現在までたくさんの受講生とともに歩んできた“真剣かつカジュアル”がモットーの有志による愉快な自主運営の文学講座です。2008年度よりさくらんぼテレビがその志に共感しバックアップすることになり、2010年度からは山形県生涯学習文化財団との共催だそうです。

ここから県内で7人の作家を生み出し活躍とのこと、みなさん今回参加されており紹介がありました。森村誠一さんだからでしょう。この取り組みは他県にはあまりなく、参加は県を超えてあるようです。しかも我が家の近くで(遊学館なので)とは何とラッキーなんでしょう!

この講座の内容は、第一線で活躍中の作家や編集者の方を講師としてお招きし、受講生が提出する短編作品(毎回3本程度)をテキストにして講評並びに簡単な講演(トークショー)を2時間で行い、その後本販売とサイン会、懇親会(希望者)もあります。

ここに参加の方は作品を書いている人30%、これから書こうとしている人30%、興味がある人30%だそうです。1回1500円でだれでも参加できるというのはいいですよね!
年間計画で日程と講師が決まっているのですが、なんせ素晴らしい作家さんばかり、話を聴けるだけで充分満足な感じです。私はまだ2回目の参加ですが、とても気に入ってます。

今日は森村誠一さんと言うこともあり、第1研修室(100名)は満杯でした。私は名前こそ知れ作品をあまり読んでおらず、もったいないなあと思いながら興味深々、予想以上にその人柄に惹かれてしまいました。
経歴を見ると私より20年先輩の80歳、細面で長身のジェントルマン、その年齢にして話し方、話す内容、毅然とし且優しさがあり穏やか、威張ったところはなく何でも惜しみなく提供しようという姿勢に感動しました。

今回の作品3作は原稿用紙80枚くらいの推理小説、事前に原稿をもらっている人が多いようです。当日参加の場合はその場でもらっても全部は読めないのであらすじくらい読んで、話を聴くだけです。森村さんは届いた段階ですぐ読み、少しねかせて来る前の日に読み返し、気が付いたところに付箋を貼ってコメントを入れ臨んでいる、忙しい合間に2日間読んでいるそうです。前年に参加し、とても刺激になったと今年も参加してくれたとのこと。
出版社も5,6社来ていて、講談社、幻冬舎、中央公論他名だたる出版社の編集者からもコメントをもらえます。森村さんだからこの数とも言えます。

3作を通して森村さんの評価は、
1.登場人物、道具を動かしていない(しっかり説明をする)
2.カタルシス(読後の快感)弱い―まだゲラの段階で、感動が  ない。生きている俳句になるように!
  森村さんは俳人になろうと思ったが小説家に。俳句、詩、小  説は精神の格闘技で、俳句、詩は打撃戦で小説は寝技と。
  どれも相乗効果がありよい勉強になる。
3.時系列の矛盾が多い。推敲不足―推敲をしっかりすることに  より矛盾もなくなる。
4.リード、見出し、タイトル弱い―小説のタイトルは表札より  面白くなければいけない。馬のクソ的なタイトルは使わない  方がよい。「紫の花」のタイトルを「永遠の葬花」と提案。

その他、文章表現の指摘をされ、聴いている私たちもとても気づ
きが多かったです。森村さんが自分だったらこう表現すると提案した文章にみんなただただ感動でした。書きとめられませんでしたが。

受け取り手がいて「表現」がある。小説は嘘を書く中に真実がある。読者はちゃんと見抜く。

森村さんの日常は、健康に気遣い1時間くらい自転車に乗る。左右注意をするしボケない。道を間違えても恥ずかしくないと。
1日20~30枚は原稿を手書きで書く。書かない方が不自然と。
好奇心旺盛であること大事―警察官が事件発生があると夜中でも電話をしてきて現場(死体)を見せてくれたそうだ。小説家だと知って。

小説家になる前ホテルマンで、そのホテルで作家が原稿を書き(連載)フロントに預けると一番先に自分が読み、続きを自分なりに書いて作家と比べると最初は随分劣っていると感じたそうだが、最後の方は作家より面白いと職員の評判になったとのこと。大分訓練になったと話された。その後、デビューしたそうだ。

50年書き続けてきて380点も著作がある森村さんだが、いつでもスランプと言う。そんな時は今のベストセラーを読み、こんな作品かと安心すると言う。昔は「作品」を評価されたが、今は「作者」主義で3作いい作品がないと続かないそうだ。売れる作品を書くのも必要と。

松本清張さんの作品は幹が太いので映画化しやすいが、森村さんのは枝葉が無数に分かれているので難しいと言っていた。

何とも素晴らしい生き様、書くことが好きでこの職業以外考えられないと笑って話す表情はとても魅力的!もっともっと読んでみたいと思った。

「行き着きてなおも途上やうろこ雲」

作家としての覚悟を起句した。(著書「作家の条件」より)


2014.04.29:t-ozeki:[キャリアアップ]