おさむ茶マイルーム

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「男はつらいよ」のビデオを久しぶりに観た。ストーリーは毎回同じで、慌て者で寂しがり屋の寅さんと、おいちゃん、おばちゃん、そして妹のさくらが繰り広げる下町人情劇だ。寅さんの映画には多くの名場面がありますが、なかでも、寅さんとおいちゃんが喧嘩するシーンは印象的でした。寅さんの言動に怒ったおいちゃんは、『お前みたいな奴は甥でもなんでもない!出て行け』と怒鳴ってしまう。すると寅さんは、「ああそうかい、それを言っちゃおしまいよ!」と、なんともいえない表情でおいちゃんを睨み付ける。
 寅さんは、おいちゃんたちとの絆を「絶対的」なものだと信じている。おいちゃんとの喧嘩は“家族であることの証”なのである。ところが、その証しであるおいちゃんの口から、「お前なんか甥でも何でもない!」と言われた時、寅さんは心の糸が切られたような…、信じていたものが崩れるような心境になる。心切り裂かれる言葉は時に、暴力よりも残酷なものである。実際、何気ない一言が“心にグサリ”とくる場合が少なくない。感受性の強い寅さんは「言葉の境界線」を知っているからこそ、「それを言っちゃおしまいよ」と言い続けるのだろう。
 ところが今の世の中、「それを言っちゃ…」の“それ”がどの部分、何を指しているのかわからない人が多すぎる。そんな人たちはぜひ、寅さんの映画で学んでほしいものだ。言葉は人間関係の潤滑油、人生における出会いや別れもすべて、言葉によって演じられている。寅さんはわれわれに、どんなに腹が立っても絶対、口にしてはならない言葉があることを、教えようとしているのではないだろうか。


2006.02.24:osamu:count(1,142):[メモ/▼オヤジの独り言]
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