おさむ茶マイルーム

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 先日、「純喫茶」の看板をみつけ、初恋の人に再会したような気持ちにかられました。
昔は、どんな田舎町でも一軒はあった「純喫茶」、古めかしい外観に壁には蔦などが絡み付いていました。
 重厚な木製のドアを開ければ、薄暗い店内。サイホンでたてるコーヒーの仄かな香り。細い糸状で横にたなびいていた紫煙が、こちらが開けたドアの風圧で一瞬揺らぎます。
店内を中を進み、壁際の隅っこの席に隠れるように座り、店内は冷凍庫のようにギンギンに冷やされ、まずは一本タバコを取り出す。
 そこへウエイトレスさんが間髪をいれず、スチールの盆にお冷とオシボリを載せて注文を聞きに来ます。すかさず、オシボリで顔を拭きながら(当時は、おしぼりで顔を拭くのが常識だった…俺だけか?)
 メニューも見ず一言「コーラ」、そのうちコツコツとヒールの音を立てて、「コーラ」を持ってきてくれます。コカコーラのボトル丸ごと1本。そしてぶ厚いグラスに氷を八分目入れています。レモンのスライスも不可欠なアイテムです。

 添えてあるストローを無視して、ガボガボとコーラを入れて、レモンのスライスを唇で押して止め、一気に飲み干します。まだコーラの瓶には1/3ほどコーラが残っています。「ハァ〜」「ゲボ」盛夏の昼下がり、束の間の涼しさを楽しんだものです。
 そんな「純喫茶」定番といえば軽音楽、程よい音量で店内を静かに流れます。「純喫茶」では誰もが一様に静かです。本を読むもの、目を瞑っているもの、おしぼりを額に乗せ天を仰ぐもの、声を押し殺してヒソヒソ話をするもの…、誰も彼もがホッと息をついていましたから小市民の「オアシス」だったのかも知れません。


2005.09.07:osamu:count(825):[メモ/▼昭和な時代]
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