おさむ茶マイルーム

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 映画「パッチギ」をDVDで鑑賞しました。劇場での鑑賞を見逃したこの映画は、ラジオやテレビのコメンテーターとしても活躍している井筒和幸監督作品で、一年前に公開されたものですが、今年の「第60回毎日映画コンクール」では「日本映画大賞」を受賞しました。
 この映画はあの名曲「イムジン河」をモチーフに、1968年、京都を舞台に在日コリアンと日本人高校生のケンカと恋を描いたもので、グループサウンズ「オックス」のコンサートから始まり、失神シーンや左翼による大学紛争など、当時の社会現象を織り交ぜています。
 あのフォークグループ「ザ・フォーク・クルセダーズ」の大学時代の元祖メンバーでエッセイスト松山猛さんの体験を映画化したものと思って観たらがっかりしますが、テーマはしっかりと受け継がれています。
 なぜ、過去の朝鮮半島に侵略した日本人と同じことをアメリカやソ連、中国などの大国が繰り返しているのか、さらにはそれによる悲劇がいまだに各国の小国で続いていること、「分断」や「差別」はイデオロギーや人種、天皇制の中でいまだに脈々と生き、国家と個人を信用させていることなどをえぐっています。
 「バッチギ」とはハングル語で「頭突き」というそうです。「突き破る」という意味だそうです。
 喧嘩シーンがふんだんに出てきますが、それはエンターティナーとしてのサービスと若者たちの有り余るエネルギーを強調するための場面かもしれません。 平和ボケに渇を入れるための映画として、団塊の世代の人だけではなく若者に観てもらいたい映画のひとつです。



 さみいねえぇ、毎日ったく〜、北海道はまだシバレるんでしょうけど…。正月映画でなおかつこの酷寒時期になると思い出されるのが映画『網走番外地』シリーズ。「新・網走番外地」シリーズとあわせると18作で、半数近くは観ただろうか。網走刑務所を舞台に大雪原の脱走、トロッコによる追跡劇、列車による手錠切断など、和製「ダイハード」のようなハラハラドキドキ映画でした。脇役も田中邦衛や嵐寛寿郎など男臭いキャストで固め、高倉の骨太なヒーロー像は確立していった時期でもありました。今の高倉健の映画から想像も出来ない荒くれ者役で、荒唐無稽のストーリーでしたが、当時のせつな的な世相を反映して、若者の共感を呼んだのかもしれません。渋い二枚目の寡黙なヒーロー像となるのは70年代後半以降である。
 そして映画が終わっから外に出るとき、一様に健さんになりきって肩をいからせて出るのが常でした(笑)。そして、珍しく健さんがシャガレ声で歌った主題歌もヒットしましたが、内容が内容だけに放送禁止になってしまったようです。

春に春に追われし 花も散る
酒(きす)ひけ 酒ひけ 酒暮れて
どうせ 俺らの行く先は
その名も 網走番外地

遙か遙か彼方にゃ オホーツク
紅い 真っ紅な ハマナスが
海を見てます 泣いてます
その名も 網走番外地



 昨日、ここの「昭和な時代」でも取り上げた映画「ALWAYS三丁目の夕日」観てきました。ストーリーがどうこうとかいうのではなく、出演者全部が主人公のような映画でしたが、泣ける映画でないにもかかわらず、涙腺が止まりません状態でした。
舗装されていない泥道、キリンジュース・キンチョー・グリコの鉄看板、トタンでできた家、駄菓子や、オート三輪、路地裏で遊ぶ子ら…そのどれもこれも非常に正確に再現されていて、とてつもない懐かしさに浸ってしまいました。
 今と比べると、まだ、決して便利とはいえない時代、いやとても貧しかった時代、でもそれを超えて余りある人のあたたか味あったような気がします。今、幼児への事件が続出してますが、あの頃って地域みんなで子供達を包んでいたような気がします。
登場人物は、人がよくて情にもろくておっちょこちょい売れない作家役の吉岡秀隆がいい味だしていました。「北の国から」のジュンが、こんな冴えないオッサン役やるとは…、あのうだつの上らなさ、むさ苦しさは、あれは地なのだろうか?と思うほどでした。それにからむ踊り子上がりの飲み屋の女(小雪)との切ない恋も素敵でした。
戦後の復興期。人々は、日本を発展させよう、暮らしを良くしようと、ある意味一つの方向に向かって頑張っていたんですね。そこにはまわりの協力関係も必須だったし、お互いにお互いの成功を喜び合いながら生きていた。
 我が家にテレビが来る!冷蔵庫、洗濯機が来る!今では考えられない程の感動だっただろうと思います。モノを欲しがる気持ち、何かを成し遂げる達成感はいい。でも、そのために愛を捨ててしまわないようにというメッセージを受け取ったような気がします。
 劇場を出てから再び、涙がこぼれおちました。
過去の自分。今現在の自分。未来に歩いていく自分。振り返って「あの時は美しかったんだなぁ」と思える自分がいるならば、今を美しいと感じながら生きられるはず。ノスタルジーに浸りたい人、自分を見失いそうになっている人、生き方を探したい人に「これが君のルーツだよ。命は繋がっているんだよ。」とやさしく語りかけて、大事なものに目を向けさせてくれる。そんな映画です



 最近「1リットルの涙」というドラマを見ました。私は、ふだんTVドラマなどを見る機会が少ないのですが、とても感動させられました。普段何気無く生活していると、気づかない大切なコトをたくさん教えてもらったような気がします。
 いつも一緒にいてくれる家族や友人の大切さや、普通に歩けて話せるということの大切さ。普通であるということは、空気のように当たり前に考えていたけれど、本当は当たり前ではなく、偶然が重なって今の普通があるのかもしれません。普通でいれることがどんなに幸せなことなのかを感じさせられる、素敵なドラマです。
原作は、難病と闘いながら、ひたむきに全力で生きた姿が感動を呼び、160万部のベストセラーとなった愛知県豊橋市の木藤亜也さんの著書「1リットルの涙ー難病と闘い続ける少女亜也の日記ー」ということもドラマを見てから知りました。木藤さんは、中学3年生で「脊髄小脳変性症」を発病し、手足の自由や言葉を奪われ寝たきりの生活となり、1988年、25歳でその生涯を閉じましたが、著書は14歳から21歳までの日記を中心に構成し様々な心情を克明に記されたものだそうです。40数年前に「愛と死を見つめて」という本もベストセラーになり、映画も大ヒット(吉永小百合主演)しましたが、あれも闘病に立ち向かう姿が感動的でした。今回も改めて生きる事とは何かを考えてみるには必見のドラマじゃないでしょうか。近じか映画化もされるようですが。



 「幸せの黄色いハンカチ」1977年の作品ですからかなり懐かしい映画ですね。何回観たことでしょうか、それでもやっぱり、名作というものは20年前だろうが50年前だろうが、何らかのパワーを持っているものでいつ観ても新鮮です、特に山田洋二監督の作品は…。

 昔「黄色いリボン」という歌があったですが、これをもとに、山田洋次監督が、脚本を書いて、映画化した作品ですが、その年の、日本アカデミー賞を受賞しました。武田鉄矢さんも、新人賞をとりました。健さんという人は、何をやっても高倉健なのである。最近は、脚本のほうで健さんに合わせてしまうので、ますますそういう傾向が強いのだけれど、昔の作品を観てみても、やっぱり健さんなのである。 たまにキャラクターの違う役をやっていても、観客のほうも「へぇ、健さんてこういうところもあるんだ」と、納得させるところが健さんたる所以ですね。
「幸せの黄色いハンカチ」は、観客が健さんを見るために作られた映画であり、書かれた脚本であり、撮影されたフィルムである。実際問題として6年間も帰ってくるやらどうやらわからん男を待っている女もいないであろうし、偶然こんなカップルに出会うことも稀であろうし、これは「おとぎ話」に過ぎないが、健さんの存在そのものがいまや現代のおとぎ話なのだから、これでいいのでしょうね。今の時代にこの作品を作ったら、「なに考えてんだ」と言われそうですが…。

 ストーリーは、九州から北海道の炭坑に流れてきた健さんが、夕張の炭坑で愛妻と出会い貧しいながら幸福に暮らしていた。しかし、妻の一瞬の不注意でお腹の子を流産させてしまう。荒れた健さんは町でケンカをし、相手を殺してしまった。刑期を終えて出獄するものの、妻のところに帰りかねていた。そんな時出会った三人組が車で北海道を旅しながら、角突き合わせたり、協力しながらお互いを理解し合いはじめる。そして、健さんが妻に「もしもまだ自分を受け入れるなら家の前に黄色いハンカチを上げていてくれ」と手紙でメッセージしていたことを知り、三人で夕張の妻のところへ行くのだが、三人が夕張へと進むラストシーンの盛り上げ方は秀逸で、何回観ても感動的である。


「蝉しぐれ」藤沢周平の同名小説を映画化した作品で、舞台は東北小藩の海坂藩、「たそがれ清兵衛」と同じ設定でNKKTVドラマ化されていたのが記憶に新しいところです。ただ「たそがれ清兵衛」「隠し剣鬼の爪」と違って、山形弁が使われていなかったのが、ちょっと謎…山形弁は聞き取り辛いから止めたのかもしれないけれど、やっぱり山形弁を使ってほしかった(笑)。
 ストーリーは、藩の派閥抗争に巻き込まれた父、その悲運の死を乗り越え、成長する牧文四郎の姿、おさななじみのふくとの切ない恋を描いた珠玉の名作(パンフレット丸写し)とか…w。
余談なりますが、映画「蝉しぐれ」オープンセットが今も保存されていて、見ることが出来ます。場所は庄内の羽黒町(出羽三山で有名)にあり、映画公開を前に観光ツァーも組まれているようです。
 屋敷のセットは、1年間風雨にさらしてから撮影開始したそうで、製作者のこだわりを垣間見ることができます。映画から観るか!セットから観るか!ワタクシはこの春、映画より一足先にセットを観てまいりました。映画は全国一斉に10月1日公開だそうですから、10月中には必ず行こうかと思っています。



「三つ子の魂百までも」などと申しますが、この年になっても小さい頃に憧れた、まぼろし探偵や月光仮面などの漫画のヒーロー達には胸トキメクものがあったりします。手に汗握る敵との死闘などなど、現実を忘れ子供の頃に“ごっこ遊び”で真似していた、あの世界…。嗚呼…(遠い目で)
なぜ、突然こんな話を始めたのかといいますと、仲間由紀恵、オダギリジョー出演。後のヒーローもの少年漫画などに多大な影響を与えた忍者活劇小説シリーズ、山田風太郎さんの「甲賀忍法帖」を原作にした映画「SHINOBI」を見てきました。
そこに映し出されていたのは、紛れもなく“ごっこ遊び”の時、脳内に思い描いていたヒーロー達の戦いでした。華麗なコンピュータグラフィックスで描かれる伊賀vs甲賀の忍者バトル。「うわ、有り得ねぇ」というようなカッコイイ必殺技の数々…。さしずめ、白土三平さんの漫画「カムイ伝」の実
写版とでも例えましょうか。ん?例えが悪いですか?
とにもかくにも、あ、そういえばオダギリジョーさんは「仮面ライダークウガ」というヒーローでデビューしたんだっけ。ううむ、やはりオダギリはヒーローが似合うなぁ。などと思いながらドキドキと手に汗握りつつ、映画「SHINOBI」を満喫してきたワタクシです。
こんな書き方をすると「単なるヒーローアクションもの?」と誤解されてまいそうですが、さにあらず。主題歌はなんとあの浜崎あゆみさん!まさに今が「旬」の出演者の方々の熱演!そしてラブストーリー!…と、幅広い年齢が色々な観点から楽しめる映画でしたよー。みなさんも忍(しのび)の世界に旅立たれてみてはいかがでしょうか?


1963年(昭和38年)に封切られた映画「天国と地獄」は、忘れられない一作だ。
インターネットで当時を調べたら、同年はケネディ大統領暗殺された年だ。当時の物価、ラーメン55円、ビール115円、銭湯23円、理髪料280円とある。流行歌は、高校三年生、こんにちは赤ちゃん、見上げてごらん夜の星を、若い季節、ヴァケーション…。
 流行語は、カワイコちゃん、、気にしない、カッコいい、、小さな親切、バカンス、へんな外人、TPO、ハッスル、ガバチョ、丈夫で長持ちETC。日本が豊かになりかけていた頃だ。TVは大分普及していたが、固定電話はまだ高嶺の花だったような気がする。

 ですから「天国と地獄」もう40年も前の映画ということになる。なぜ思い出深いかというと、高校受験が終わった日に引率の先生から連れてってもらって観た映画だからだ。
 眼下に街を見下ろす小高い丘に立つ豪邸。三船敏郎が質の良いカーデガンを着てウィスキーのジョニー赤を飲んでいる。今ではジョニー赤など誰も見向きもしないが、当時は憧れのお酒。茶の間のサイドボードに封を切らずに飾っておいたものだ。日活映画ではギャングのボスが決まって飲むウィスキー。

黒澤作品は、当時なぜかモノクロが多く、白黒映画の方が状況描写ではリアルだったからだろうか。モノクロのスクリーンに突如一条のオレンジの線。40年経った今でも強烈な印象で脳裏に焼きついている。この映画には活力に溢れていた昭和の時代が息づいていた。
 こんな面白い映画には、もうめぐり合えないのだろうか。

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 映画から入るか、小説から入るか…ワタクシの場合は、映画がこんなに面白いのだから元本はさらに面白いだろう、と映画から入るタイプである。松本清張作品で映画化された作品は数多くあるが「砂の器」はトップ3に数えられよう。
映画化不可能といわれた緻密かつ壮大な原作を山田洋次が見事に脚本化。丹波哲郎、加藤剛、島田陽子、緒形拳、渥美清ら豪華キャストを配し、1974年に公開され、人々の心に深い感銘を刻みました
 ストーリーは迷宮入りと思われた蒲田操車場殺人事件を担当する警視庁刑事二人が「東北弁のカメダ」という言葉を手がかりに東奔西走、犯人に肉薄した。そこで二人が見たものは、栄光の階段を上りつめる天才音楽家の隠された宿命だった。犯人の数奇な運命に、ハンセン氏病の社会テーマをからめた最高傑作!「逃亡者」のジェラード警部をほうふつさせる追跡は鬼気迫るものがあり、夜を通して読みふけった記憶がある。
 3年前、SMAPの中居くん主演でリメークされたが、ドラマと原作では登場人物と設定が異なっている部分があったりして、原作本の方が数倍面白い。この作品が世に出てからが30年以上経過しているが、時代の流れに色褪せることのない秀作である。


 この、「沈まぬ太陽」を読んだキッカケは、図書館に勤務する友人のススメからでした。分厚い文庫で全5冊、本を読み始めると熱中するタチなので、読み始めるのを躊躇してたのですが… やっぱり読み始めたら一気に読んでしまいました。本の内容は、日航機御巣鷹山墜落事故を中心とした、当時半官半民だった日本航空の腐った内部事情の告発を、ストーリー仕立てにしたような感じです。(文中では国民航空、関係者いましたらゴメンナサイ)
 この作品は実在する会社と人物をモデルにしていますが、御巣鷹山編だけは正直言って、実際に見聞きした当時の衝撃が蘇ってきそうであまり読み返す気にならない部分です。
この本では主人公がふとした事をきっかけに、組合の委員長になる。そして組合員のため、空の安全のために行ったストにより、人事で海外の僻地をたらい回しにされ…。最近の日航の不祥事を見ていると、相変わらず同じ事を繰り返してるんだなと…そして会社の体質って一朝一夕に変わんないんだということも。

「不毛地帯」「白い巨塔」を世に送った社会派の山崎豊子さんは、おそらく丹念に取材で得た事実を元に話を組み立てていったのでしょうが、それぞれのエピソードはリアリティ溢れていて圧巻でした。今年で日航機墜落から20周年、マスコミでも大きく取り上げられましたが、ちょうどお盆の時期でテレビ報道を食い入るように注視した記憶がよみがえり、胸が痛くなりました。
 JR西日本の列車事故もしかり、巨大企業による利益最優先の経営姿勢が、人権と人命の軽視につながっていくことへの警鐘を鳴らした作品として、ぜひご一読を。