10年前の成田駅、10年後の成田駅

 Y君の写真展「軌跡、」に在廊しながら、ふと心に浮かんできた思いがあった。今まで数多くの写真展を開催してきたが、作品を通して自分の歩みを表現しようとした人はいなかったのではないか、ということです。

 

 小学生で初めてカメラを持った時から、大学4年までの約10年間には楽しかったことや辛かったことがたくさんあったことでしょう。その10年の歩みを語る25枚の作品を選ぶことはとても大変なことだったろうと。だとすれば作品の美しさや技術的な素晴らしさに感動するだけの今までの鑑賞スタイルでは不十分なのではないか、という思いが湧きあがったのでした。

 

 そんな思いを抱きながら見ていると、成田駅で撮られた2枚の写真が目に入った。左は2012年11月に撮影とある。西根に住んでいたお婆ちゃんの家に遊びに来た時に撮ったのであろうか。右は今年の4月のお花見会の際に撮られたもので、「暖かい日に」との題が添えられている。

 

 婆ちゃんとの想い出のある駅で高校写真部の仲間と活動し、名のある写真家や(変な)大人たちと知り合った。10年後に桜を眺めた駅舎は昔の想い出と重なって暖かった。ここからまた歩き出そう・・・と。(おらだの会の変なオジサンは、単純に2枚の成田駅があるのが嬉しかったのかもしれませんが。)

2024.09.07:orada3:[駅茶こぼれ話]