写真は今年の2月1日に倒れた杉の根元である。根回りは2メートル近くあり、防雪林の中でも太く、頑丈そうに見えた巨木の一つであった。しかしながら根元は、ご覧のように空洞になっていたことがわかる。
この2年ぐらいの間に、倒木による運行遅延事故が3回程発生している。これまでは枝の一部や割合と細い幹が折れていたので、単に強風の性だろうと思っていたが、今回の状況を見ると防雪林全体が脆弱になっているのでないか、と思えてくる。冬の葉山下ろしから線路を守るために植えられた木々が、100年の歳月を経て力尽きようとしているのかもしれない。
「長井線の今昔」を著した故小口昭氏が、最後の貢で「長井線に在る防雪林は文化財的な価値があり残しておきたい」と記している。樹間から差し込む夕陽の素晴らしさを思い、小口さんのメッセージに共感しながらも、倒木が示す目の前に迫った現実の厳しさに圧倒されるようだ。