駅に残る思い その2(郁作)

駅に残る思い その2(郁作)

 この絵は旧事務室の書棚に保管されていたものである。表に「郁」の署名があり、故佐々木郁雄さんの作品と思われる。佐々木さんは駅協力会からの委託を受けて駅前環境の整備に取り組む地元グループの代表を務めていた。国鉄から三セク移行という激動の中で、1988年(昭和63年)に成田駅のトイレや花壇の整備等に取り組んだ。また定年退職に際して、駅の南側に花壇も整備してくれた方である。

 

 絵の裏面には「平成6年2月」と記されているが、翌1995年(平成7年)には成田駅前の仲間と共にもみじ広場の造成を果たした。佐々木さんたちはこれを機に第一線を退き、おらだの会(平成8年設立)に後を委ねることとなる。「おらだの会」という名付け親も佐々木さんであった。

 

 ザクロは子孫繁栄の象徴ともいわれる。佐々木さんはこの絵を観ながら談笑する風景を思い描いて、事務室に持参したのではないだろうか。2002年(平成14年)に成田駅が完全無人化になって以降、書棚の奥に片づけられたのかもしれない。佐々木さんはじめ、生き生きボランティアの先輩方は、今の成田駅をどんな風に見ているのだろうか。改めて佐々木さんの絵を駅茶に飾っておこうと思う。

 

 

 昭和63年の整備事業はこちらから

 → (29)「過疎化の玄関口」を「活性化の拠点」へ:おらだの会 (samidare.jp)

2024.01.08:orada3:[駅茶こぼれ話]