エンディングはサライ

 長井線祭りが終了し、駅茶でささやかな打ち上げを行った。しばらくしてオカリナーズのリーダーである金子さんが顔を出してくれた。金子さんは長井駅会場の責任者でもあり、その終了を見届けて来てくれたのである。金子さんが帰ろうと戸に手を掛けた時に、エンディングの演奏をお願いした。金子さんは「サライ」を選んでくれた。

 

 小さな駅舎に、オカリナの澄んだ音色が流れた。演奏を聴いていると、この1か月程の間に、駅茶を訪れてくれた方々の顔が浮かんできた。今は亡き広田泉さんの案内で駅スタンプを求めて来た女性が、7年振りに訪ねてくれた。何回か成田駅に来てくれている方は、「今回は家族旅行で来ました」と旦那さんを紹介してくれた。40年前に仕事で助けてもらった人の名を、駅の伝言板で見つけた人もいた。そして36年前の成田駅の写真を届けてくれた方がいた。そこには若かりし頃の会員の顔もあった。

 

 この駅がこれからもそれぞれの人生を振り返り、立ち戻る場所であって欲しいと思う。長井線祭りのエンディング、金子さんのオカリナが心に沁みた。

 /サクラ吹雪のサライの空へ/いつか帰るきっと帰るから

 /まぶた閉じれば浮かぶ景色が/迷いながらいつか帰る/愛の故郷

 

2023.10.31:orada3:[駅茶こぼれ話]