第5話 サクランボの実る頃(おりはた駅へ)

 宮内駅を出ると線路の両側にサクランボの果樹園が広がり、一家総出で作業している姿を見ることがある。やがて織機川を越えると列車の窓から手が届きそうなほどに、果樹の枝が伸びているおりはた駅に到着する。

 

 サクランボの実る頃は

 お父さんも、お母さんも、爺ちゃんも

 朝早くからサクランボ畑に出かける

 

   家に残っているのはばあちゃんとわたしと弟

 わたしの仕事は弟の子守りだ

 

 いっぷくの時間になると

 ばあちゃんが作ったミソ揚げと

 甘いお菓子を持って畑に出かける

 

 サクランボの甘い香りの下で

 輪になってみんなでいっぷくだ

 今も心に残る家族の風景だ

2023.02.21:orada3:[長井線読切りエッセー]