貨物列車の背中

 舟越さんからお借りしたアルバムの中で、この写真が気になった。走りすぎていく貨物列車の写真である。一緒に見ていた知人は、「後追い」という撮り方なのだと教えてくれた。「夕暮れ時にテールライトを灯しながら走り去っていく姿は絵になるんだ。」という。それを聞いて、海援隊の「思えば遠くに来たもんだ」という歌の一節が浮かんで来た。

 

 踏切の側に咲く コスモス揺らして

 貨物列車が走りすぎる そして夕陽に消えてゆく

 

 この写真を見ていると、「まだ頑張るのですか」と声を掛けたいような気持になる。ヘッドライトを点けて突き進む姿も良いが貨物列車にも人生を語る背中がある、と思うのは年をとったせいなのだろうか。

 

 

【写真提供:あやめ蕎麦舟越 佐久間信人さん】

2021.09.27:orada3:[駅茶こぼれ話]