おりはた駅から宮内駅までの約0.6キロには、もう一つ面白いモノがある。それは踏切である。0.6キロに踏切が5カ所あるのである。たった2分の乗車時間だから、24秒に1回踏切を渡ることになる。
踏切音というのは妙なもので、踏切に差し掛かる時には「早くしろ、早くしろ」とせかされるように聞こえ、踏切を過ぎると何か忘れ物をしたような気になるのである。踏切はまた、列車に乗って旅する人と、地元の人との交差点でもある。この関係は東北新幹線では全く味わうことができない。山形新幹線には踏切はあるが、線路が圧倒的な優位に立っており、ローカル線のような互いの存在を認め合うような関係を感じることは出来ない。
いすみ鉄道の「ここには何もないがある」という有名なポスターも、踏切で撮影されたものである。さらに小椋佳の「白い一日」やゆずの歌にも踏切が登場する。踏切というものには何がしか感じるものがあるようである。長井線に乗って、ぜひ体感して欲しい。
【写真は宮内第4踏切:山猫さん提供】