列車は、蚕桑を出て白兎駅に向かう。白兎駅から羽前成田駅までの約2キロは、線路が真っ直ぐ一直線に伸び、窓外には西山の雄大な山並みが見える区間である。白兎駅のホームには「山形景観物語 ビューポイント33」の看板がある。
長井線で2キロ以上の直線が続くのは、ここと時庭~南長井駅間の2区間だけであろう。どちらも置賜(長井)盆地の田園地帯を走るのであるが、東西の山並みとの距離の差で、見えてくるものが全く違っている。
汽車通学を経験した方が、「あの西山の風景が、一番記憶に残る故郷の風景だった」と語ってくれました。四季それぞれの佇まいを鑑賞ください。特に秋の夕暮れ時に、金色に輝く姿を眺めて欲しいものです。
起き出でて葉山の峰を眺むれば 恥じらふ色に雪を染めたり(大道寺吉次)
置賜は国のまほろば菜種咲き 若葉茂りて雪山も見ゆ(結城哀草果)
【おらだの会】 写真は山形鉄道株式会社提供