荒砥駅を出発すると、列車は勇んでスピードを上げる。来る時の減速感とは真逆である。この感覚は乗ってみないとわからないものだ。
さて、車内を動き回るのは、変な大人風で恥ずかしくなる。小さな子供の視線を感じながらも、意を決してあちこち眺めまわす。すると網棚の上に青空と白い砂浜らしきポスターが見えた。冬の列車の中に海外のビーチでもあるまい、と思って近づいてみると、南陽市の十分一山の写真である。やまがたアルカディア観光局が撮影したもので、地域の観光スポットが紹介されている。別の列車には、長井線の昔の写真が展示されていた。
こうした展示は面白い。旅の方には、沿線の四季と車外からの風景を見てもらうこともできるし、地元の人にとっても、地元の魅力を再認識することもできる。何よりも、山形鉄道の社員の方の一生懸命さが見えてうれしいのだ。昔、家に帰省客が来ると、みんなでお餅をつきながら、「何もないけど、サワギがゴッツオウだ。」と語っていたことを想い出す。
高校生の作品展示や長井線を応援する写真家展などがあっても良いし、子供のぬり絵展なども楽しそうだ。クリスマスなどの装飾や吊り革オーナーなどと共に、山形鉄道を応援する人たちの姿が見えて来るような場所にすることも考えてみてはどうだろうか。
ナンニモ ナイゲンドモ ユックリ シテッテ オゴヤエナ