車寄せ探検の最後は、ここに使われている錆びた金具。羽前成田駅のモノは方杖(ほうづえ)のような金具であり、西大塚駅のモノは屋根の上に取り付けられた雪止め金具である。地元の棟梁に聞くとそれぞれ「化粧持ち送り」、「トンボ」と呼んでいるとのこと。
成田駅の金具は同じようなモノがホーム側にも使われているが、それには中の輪(〇)はない。中に組み込まれた輪は、何のために作られたのであろうか。また成田駅の屋根は縦葺き(瓦棒葺)のため、横葺きである西大塚駅のような雪止め金具は設置されていない。なぜ、成田駅は縦葺きで、西大塚駅は横葺きなのであろうか。駅舎が配置された方角と雪の多少によるものであろうか。
100歳の木造駅舎にあって、全く違和感を感じない程に錆ついた二つの金具。この金具を選択し、工事をした職人はどんな人であったろう。モノには物語があるものだ、と思う。