日本文化論①

 先日、長井市の「新春文教のつどい」に参加する機会を得ました。その中で、本年度、長井芸術文化賞を受賞された若柳秀美さんが披露された『長唄 松の緑』という日舞を見ることができました。その時、はっと思うことがありました。それは、「これが日本舞踊の原点ではないか」という思いです。そこでまた、適当に考えた訳です。
 「あれっ『芸』って草冠なんだ」。そして草冠の字を挙げてみたら面白い。草、花、茶、花柳、若柳・・・、日本の伝統芸術の基本が全て草冠なんだ。これは驚きだった。思えば、英語圏でも「カルチャー」の言語が「アグリカルチャー」である。この中には、東西を超えて、歴史を超えて、さらに宗教の違いも超えて、自然と人間の生き方に通じるものがあるんだと感じた。
 そして、芸術文化賞の賞牌をデザインした長沼幸三先生(「長井の心」を残した先人)の言葉にこんな言葉があった。

 賞牌の【中央の顔】は古代日本の女性の顔:山も川も神であり、自然は自分たちを豊かにしてくれる仲間であった。【顔の周囲の二重の輪】は、曲線である。直線の冷たさに対する柔らかさ、猛々しさに対する優しさ、刺々しさに対する和やかさ。同時にこの曲線の美しさは、長井を囲む山々の稜線の美しさでもある。
 長井の芸術文化は、自然と調和融合の中で発展し、その目的を達していただきたい。

 金剛流も能から生まれたものである教えてもらった。こんなことを知ったとき、日本文化の生成と発展の歴史を、一つの物語として表現するような『日本文化の芸術祭』をやってみたいと感じた。長沼幸三先生の言葉は、「俺が一番、私が一番などと言わずに、それぞれの道を究めてほしい」というメッセージではなかろうかと思うのである。
 ま、変な民俗学者としては、「芸とゲイの研究」の方が興味あるのだが・・・。
2013.01.30:orada:[変な民族学5巻 日本民俗論]

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