食のめざまし時計プロジェクト

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八木澤商店の名物に「キュウリの一本漬」がある。このキュウリがまたすごい、完全な自根キュウリなのだ。 現在、多く出回っているキュウリは、かぼちゃに接ぎ木して品種改良したもの。

本来のキュウリが皮に出す白い果粉は残留農薬と間違われてしまうとか、トゲトゲがキュウリ同士の表皮を傷つけるとかいった理由で敬遠され、表皮が固く鮮度が長持ちするもの、そして病気に強いものに改良された。しかし食べてはキュウリ本来の味わいと離れたものに変化したのです。

●河野さんの奥さんが漬けもの部門を担当し、近くに漬け物工場を持っているが、ご夫婦ともに、どうしても自根キュウリの、あのパリッとした歯触りで漬けものを漬けたかったという。
自根キュウリとは、文字どおり自分の根で土壌の養分を吸いあげるキュウリの事です。

●そこで、周りの農家にお願いしたが、リスクの多い自根キュウリの栽培に協力する者はいない。仕方なく、農地を求めて、自分たちで作ることにした。

●東京銀座で行われた三陸の物産展で、この自根キュウリが、試しに出品されたところ、2日間で900本が完売した。一本100円で売ったこのキュウリの値打ちのわかる人が多く居たという自信から、いまや陸前高田のキュウリのほとんどが、自根になったという。

●この自根キュウリの「一本漬」は当店でも、人気商品でしたが、いまは、もう入手不可能となりました。いづれ、八木澤商店が復活したとき、必ず再商品化されると、期待しています。

               (写真は平成18年、自社のキュウリ畑)


 <食のめざまし時計> 代表 小山 博道(ワンストップこやま元店主)


この人が、8代目の河野和義、現会長である。
江戸時代から伝わる古式梃子の天秤に約10キロの重しをかけ、もろみを1週間かけて搾る。ここで、出来た「生揚げ醤油」は濁りがなく、清冽な味がする。
「醤油の古典芸能ですよ」と、彼は笑う。

●スローフードの発祥地イタリアを訪れる機会があった。「地場の素材を使い、時間をかけて本物の商品を造る。これまでの自分の行動を、これからも続けていく勇気と自信をもらった」 とふりかえる。

●豪放でプラス思考の人柄から、地元イベントのリーダーをつとめる。
「全国和太鼓フェスティバル」「気仙町けんか七夕保存会」「景観と街並み保存会」 グリンツーリズムや、ごみ問題まで、献身的にかかわる。
「八木澤商店をご存じですかって? お客さん 陸前高田で何かやるときは
 あそこが、いつも本陣なんだよ。代々そうだ」とタクシーの運転手さん。

●彼は今、従業員を仮事務所にあつめて、地元被災者の救援活動を始めている。自らも、すべてを失った立場なのに、近郊から野菜などを探してきて、避難所に配らせている。TVにも出てきたが、拳をふりあげて、復興への激を飛ばす彼の姿は、たのもしい。家族的経営で一人の解雇者も出さず、2名の新入社員も、そのまま受け入れる「武士道」の経営者でもある。

    私は今、彼に、本物の日本人を見た思いがする。

<食のめざまし時計>代表 小山 博道 (元ワンストップこやま店主)

文化4年(1807)創業のみそ、醤油醸造業の老舗、八木澤商店の蔵造りの店(写真)も工場も津波に襲われ、破壊されてしまった。
陸前高田を代表する歴史ある建物は、地元の文化財でもあった。「なまこ壁」の美しい蔵、あの堅固で重厚な造りまでが、巨大な波にもっていかれたのだ。

●今から5年前の2006年の8月に、私はこの醸造蔵を訪れた。
ここの商品を販売したいので、見学と取引のお願いに、伺ったのだ。
 
八木澤の醤油は、岩手県産の減農薬の丸大豆と南部小麦、それにミネラル豊富な海水塩と醸造に適した地下水を使い、昔ながらの伝統製法を守っており、自然食品店の経営者として、ぜひ、品ぞろえの中心の持って来たいと思っていたのです。

●現在、会長の河野和義さんが、八代目として店を継いだ当時は、醤油の価格競争が激しかった。 外国産の脱脂加工大豆を使い、化学薬品で大量につくる即醸方式の安価な醤油が,はばをきかせていたが、河野さんたちは
「 こんなものでいいのか? 先代たちが造っていた本物の醤油を復活させたい 」と立ち上がった。

●特に、全国的に知られており、美食家の愛用となっているのは、「生上げ
醤油です、江戸時代から伝わる古式梃子の天秤に約10キロの重しをかけ、布でくるんだもろみをゆっくりと搾る古来の造り、味の芸術品です。

当店「風土然」では、八木澤の醤油をはじめ、調味料、つけものまで扱い、ご好評をいただいて来ましたが、生産は完全にストップして、入荷はありません。 ものによっては、まだ、在庫が少し残っています。
八木澤フアンのお客様は、お早目にお買い求めされますように。

河野和義会長は再建を強く、宣言しています。TVで見ると社員を集めて
地元被災者救援のボランティア活動を,すでに始めているようです。
さすが、筋金入りの地元のリーダーと感動しました。
          (続きは次回で)


<食のめざまし時計> 代表  小山 博道(ワンストップこやま元店主)


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