目加田経営事務所/根橋弘行

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食品製造業A社は、ISO9001の認証取得以来、初めての更新審査を迎えました。社長がインタビューを受けています。

審査員:ISOの認証取得をされて3年が経ちましたが、成果はいかがでしょうか?

社 長:
ルールを守ることが顧客満足の向上につながると言う事をいつも意識するように社員には言っています。社員もマニュアルなどのルールを守るようになってきています。そういう面で効果が出てきていると思います。

審査員:それは良かったです。ISO効果ですね。それでは品質目標の3年間の達成状況はどうですか?

社 長:どうだったかな?順調だったと思いますよ。

審査員:品質目標の達成度には社長はあまり関心がないようなご返事ですが・・・。

社 長:
そういう事ではないです。しかし、クレームの発生状況やその改善の方が重要だと感じていますので。

審査員:
確かにクレームの数が減ることは大切ですが、御社の品質マネジメントシステムの目的は何かを軽視することは本末転倒と言わざるを得ないですよ。御社の品質マニュアルには、「会社の経営理念を達成するために社長は品質方針を設定する。その品質方針に基づいて品質目標を各部門長に設定させる」と書かれています。つまり、御社の品質マネジメントシステムは品質目標を達成するために規定されているはずなのです。

社 長:
品質目標について、そのように意識したことはなかったですね。ISOの導入時に仕組み作りに取り組みました。そして、マニュアルができた後に、品質目標を決めなければならないので今の目標に決めました。品質目標はISOの項目の一つ程度にしか意識していなかったです。

審査員:
ISOの規格は沢山ありますが、その内容は重要な項目もあれば、サポート的な位置づけの項目もあります。その辺りを整理していくと御社の品質マネジメントシステムはさらに良くなっていくはずです。規格の中で品質方針と品質目標は最重要の要求事項です。これらを達成するために品質マネジメントシステムはあるということを理解して下さい。品質目標と品質マネジメントシステムがうまくかみ合っていなければISO導入の効果は上がりません。

社 長:分かりました。

審査員:社長は何に期待して、ISOを導入したのですか?

社 長:
顧客満足度を高めて、お客様からのリピート注文を増やしていきたい、というのがISO導入の目的です。

審査員:今の品質目標は、そういうテーマになっていますか?

社 長:なっていませんね。

審査員:
それでは、次の品質目標の設定時には、テーマの見直しをしてみてはどうですか。

社 長:分かりました。検討してみます。

品質目標が会社の目指している姿を目指すためのものとはなっていない事例が多くの会社で散見されます。「会社の目指している姿を達成する為に品質目標を立て、その実行のためのISOシステム」というつながりになっていない会社では、ISOが形骸化してしまいます。今回は品質目標の設定について検討します。

1.提案1 ISOの審査の為の品質目標を止めましょう
多くの企業で、「品質目標は達成しやすいテーマにするのが無難」と考える傾向があるようですが、それではISOを導入した意味がありません。「達成してもしなくてもあまり関係ない」という品質目標は変更することを提案します。達成が難しくても、会社の役に立つ目標を設定し、その達成のために品質マネジメントシステムをしっかり運用していくことでISOは活きていきます。

2.提案2 経営計画に明記されたターゲットを品質目標にしましょう
トップの考え、会社の目指すこと、実行することを明確にし、全社で共有するものが経営計画書で、会社では一番重要な憲法に当たるものです。その経営計画書と連動していなければISOは形だけのものになってしまいます。経営計画書の重要テーマを品質目標とすることを提案します。
まとめ
品質目標は全社が本気で達成に向けて取り組むテーマであり、それを達成することで会社の目的が満たされるものにしましょう。そのような仕組みが構築できればISOシステムの改善を図りながら目標達成に向けて動くことが出来ます。

2012.01.31:nebashi:count(1,190):[メモ/レポート]
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