目加田経営事務所/根橋弘行
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経営に役立つISOシリーズ 100号−クレーム(不適合)再発に歯止めをかける−
食品メーカーA社は、ISO9001の認証取得以来、初めての更新審査を迎えました。社長がインタビューを受けています。
審査員:認証取得をされてから、3年が経ちましたが、クレームの発生状況は変わって来ましたか?
社 長:クレーム対応の手順が明確になったので、営業部と製造部が連携を取って素早い対応が出来るようになってきましたが、クレームはなかなかゼロになりませんね。
審査員:是正処置は実施できていますか?
社 長:これが昨年1年間の是正処置報告書です。20件あります。
審査員:20件もあるのですね。20件のクレームについてはどのような傾向がありますか?
社 長:異物混入が原因のクレームが多いと思います。
審査員:なるほど、混入した異物も髪の毛、ビニールの切れ端、ガムテープなど色々なものがありますが、製造ライン付近で混入したものですね。
社 長:そう言われれば、同じ部類のクレームですね。
審査員:1件、1件のクレームに対してはスピード重視で対処していることは大いに評価出来ますが、再発防止が出来ていないのではないですか?
社 長:クレームの発生毎に是正処置を実施していますし、決められた手順で実施しているので対処はしっかりしているつもりでした。
審査員:各是正処置報告書の再発防止策の欄を見ると、「製造ライン付近に必要なもの以外置かない事を作業員に注意した」というのが何件かありますね。しかし、この方法では再発を防止できていないようです。
社 長:是正処置の実施の度に関係者が話し合って再発防止策を決めているので、当社としては妥当なものであると判断してのことだったのですが。
審査員:そうですね。しっかりと検討した結果だと思いますが、再発しているクレームについてはさらに突っ込んだ検討が必要だとアラームが灯る仕組みが必要だと思います。
社 長:分かりました。今後はクレームの再発が起こらない様に管理を進めていきます。
ISOに取り組んでクレーム対応がスムーズに行われるようになったという声をよく聞く半面、クレームが減らないという声もよく聞きます。クレーム対応はスピード対応する半面、問題が一件落着した後には反省もそこそこに通常業務に戻っていく・・・、という企業も多いようです。今回はクレームの再発防止を防ぐ方法を検討します。
提案1 クレーム情報の一覧化を図りましょう
1件1件のクレーム対応はしっかりしている企業でも、「今週や当月発生したクレームは 見えるけど過去のクレーム情報はファイルの中」という企業が多い状況です。クレーム情報の一覧化の工夫をしましょう。顧客、製品、クレームの内容、原因が見えることで再発防止策が必要かどうかの判断ができます。特にクレームの内容、原因の記入については後で分類しやすいようにカテゴリー別に分ける工夫をすると見える化がより進みます。
提案2 議事録を上手く活用しましょう
エクセルなどの表計算ソフトを活用して幹部会議などの議事録を作成し、報告されたクレーム情報を発生毎に記入していくことで表計算ソフトの機能を活用した分析も簡単に出来ます。ISOのためのデータ分析の記録作成の二重の手間は省けて、通常の議事録がデータの分析(規格8.4)にもそのまま使える利点があります。
まとめ
クレーム対応は迅速に行うだけでなく、再発防止のための確実な対応が求められます。同じクレームが再発している会社は仕組みの見直しをしましょう。
2011.10.27:
nebashi
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