目加田経営事務所/根橋弘行
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経営に役立つISOシリーズ 107号-内部監査員のレベルアップがISOの改善につながる
食品製造業A社は、ISO9001の認証取得以来、2回目の更新審査を迎えました。管理責任者がインタビューを受けています。
審 査 員:
各部門を見せて頂きましたが、ISO9001のシステムは安定してきているようですね。
管理責任者:
会社のシステムとして定着してきました。しかし、改善がなかなか進まなくなってきています。
審 査 員:どうしてでしょうか?
管理責任者:
例えば、内部監査を年1回実施していますが、最近は不適合が見つからず、「問題なし」という報告が上がってきています。ISO9001の不備がないことは結構なことですが、このような現状ではまずいと思っています。
審 査 員:
そのような状況ですとISOを活用できていないですね。ISO9001のシステムが会社内に浸透してきていることは良いことですが、改善点が見つからない事は問題ですね。
管理責任者:
そうです。すこしマンネリになっている、と感じています。
審 査 員:
内部監査員の教育・訓練は行っていますか?
管理責任者:
ISOに取り組む時にコンサルタント会社の内部監査セミナーを受講して、全員資格をとりました。
審 査 員:
それ以降の勉強はしていますか?
管理責任者:
内部監査セミナーに合格すればOKだと思っていましたので、それ以降は特にしていません。
審 査 員:
内部監査員の初歩としてはそれでOKだと思いますが、現在の御社のような状況では、もっと深い監査をするための勉強をする必要があると思います。
管理責任者:
しかし、内部監査のセミナーは初歩的なものしかありませんよ。
審 査 員:
ISOの勉強も必要かもしれませんが、マネジメントや食品安全のリスクに関する勉強をすることで視野が広くなり、被監査部門の改善のためのヒントに気づくことができるようになるはずです。内部監査員1人1人がレベルアップしていけば、内部監査のレベルも少しづつ向上していくと思います。
管理責任者:
なるほど、教育・訓練の計画で内部監査員のレベルアップを図る計画を追加してみます。
ISOの導入以降、内部監査員の教育・訓練には目を向けずにいることで内部監査のマンネリにつながっている事例が散見されます。マンネリにならないためには、内部監査を新しい目で実施することが重要ですが、今月は改善を進めるための内部監査員の教育・訓練について検討します。
≪ご提案1 内部監査員は視野を広げる勉強をしましょう≫
内部監査員の勉強はISOの規格や監査の手順に関することだけには終わりません。経営幹部としての知識を持っていることが大切です。販売管理、商品企画の方法、生産管理等々のマネジメントの知識を高めることが重要です。それらの知識を身につけることで会社の改善のための視野が広がります。
会社としてどのような知識や技能を身につけて行くことが内部監査員として求められるかを整理していきましょう。
≪ご提案2 内部監査員を幹部への登竜門と位置付けて育成しましょう≫
内部監査員は会社の経営幹部(候補者)が担当する仕事と位置付けて、育成する仕組みを確立しましょう。内部監査員は会社の改善に貢献するという役割を本人が認識することで、単に実施するだけの内部監査から脱却する糸口になるはずです。
≪まとめ≫
せっかくの内部監査で最大限の効果を出すために「内部監査員=経営幹部(候補者)」と位置付けて育成に取り組みましょう。
2012.06.15:
nebashi
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