TUAD blog/美術館大学構想
▼大橋仁写真展「いま」こども劇場で開催中
■写真:大橋仁写真展「いま」DM表紙(デザイン:豊田あいか)
2006年7月24[月]ー8月10日[木]
こども芸術教育研究センター・ギャラリー
10:00ー17:00 休館日/7.30[日]、8.5[土]
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昨年末にこども芸術教育研究センターから、「こどもをテーマにした写真展を開きたいので、いい写真家を紹介して欲しい」とリクエストを受け、かねてより強く心を惹かれていた写真集『いま』(青幻社)の著者・大橋仁さんのお名前を伝えたところ、なんと、現実に個展が実現しました。今日から、こども芸術教育研究センターで開催しています。
大橋さんのデビュー作『目の前のつづき』は、親族の自殺未遂をドキュメントした写真集で、渋谷のパルコブックセンターで初めて手にした時、その圧倒的な現実感に、冷ややかな狂気を感じました。アラーキーが帯に「凄絶ナリ。A」との筆書きコメントを寄せていたのも印象深かった。
その、日常の中の死の予感を凝視した前作から一転して、出産の光景を通して、生まれてくる命をまっすぐに写した『いま』。展示は、大橋さん自身がギャラリー空間に合ういくつかのイメージを写真集から抽出したのですが、胎内をイメージして設計された楕円形の「こども劇場」とは、とても象徴的に絡みあって、忘れ難い印象を残します。
展示室のはじめには出産シーンを真正面からとらえた大判のプリントが掛けられていて衝撃的。それから林立する都市や、夜の小動物、カーテンの揺らめきを経て、再び羊水のイメージへ・・・。一点一点の意味を追うのではなく、彼岸と河岸を透過する、眩しい映像の叙事詩のような光の揺れが、静かに胸に迫ってくる展覧会です。
8月6日[日]には大橋氏が来学。私、宮本と「いま」展の会場でギャラリー・トークをおこないます。11:00-と14:00-の2回です。ぜひご来場ください。
美術館大学構想室学芸員/宮本武典
画像 (小 中 大)
2006.07.24:miyamoto
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