美術館大学構想
2007年度の美術館大学構想-1「舟越桂展+立花文穂ARTIST IN RESIDENCE/ふたつの森を迎えて」
■写真上:グラフィックデザイナー立花文穂さんから頂戴した、パリのSHISEIDO LA BEAUTEにおける立花さんの展覧会カタログ『本のなかに森がみえる』。
■写真下:栃木県立美術館の収蔵庫にて、本学の文化財保存修復研究センターが修復を受ける作品について打ち合わせ。彫刻の修復家として活躍する藤原徹教授(左)と、栃木県美学芸員の木村理恵子さん(右)。中央には舟越桂氏の初期の傑作「風をためて」と、奥にはイギリス現代美術の巨匠デヴィット・ナッシュの無骨な木彫群が見える。いずれも秋に芸工大で公開予定。
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芸工大周辺に植樹されている細身の「大山桜」は、見頃は過ぎたものの、キャンパスにはまだ少し桜色の余韻が漂っています。暖冬の影響か、ずるずると冷気を引きずっている山形では、未だに上着なしでは朝夕は辛いですが、学食の混雑と、新入生たちのフレッシュな装いに、すっかり卒展後の憑き物が落ち切った「春」を実感する毎日です。大学に残った僕たちも、再出発です。
さて、デザイン工学部に新しく着任された先生方の仕事を紹介する展覧会『New face at TUAD』が、先週クローズしました。マルチに活躍するアーティスト・中山ダイスケさんや、写真家・屋代敏博さんの教員就任は、コンテンポラリーアート界ではちょっとしたトピックスであるはずですが、肝心の芸工大関係者(学生+職員)がその事実に気がつくのはもう少し先でしょうか。
7名の先生方は、とても意欲的にショーに参加していただきました。学生の関心も高く、学内向けの展示のわりに、2週間で約1,700名の入場者数を記録しました。地元メディアの取材も多くて、僕も簡単な解説を依頼され、2回もテレビ出演しました。昨年、ちょうど同じ時期に松本哲男学長の大規模な個展『松本哲男展-鼓動する大地-』を開催し、こちらも大好評だったので、新春の「顔見せ」的企画展は恒例になりそうな予感です。
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今年度も美術館大学構想室は様々なプロジェクトに挑戦します。4月一杯は、出展交渉とスケジュール調整のため日本各地を飛び回っていました。2007年度のラインナップがほぼ確定してきたところで(詳細はおいおいメインHPにUPしますが)ここで、ここ最近の動きと年間のコンテンツを数回に分けて紹介しておきます。
まずは今年一番の目玉から。
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【4月10日東京・西村画廊】
日本橋の老舗現代美術ギャラリー西村画廊へ。秋の企画展にお招きする彫刻家の舟越桂さんと、美術館大学構想プロジェクトリーダーの酒井忠康先生、そして西村健治社長とミーティング。西村画廊でアルバイトをさせていただいたのはムサビ院生時代で、もう10年以上も前のことです。その後、4年間を過ごしたタイのバンコクでは、ギャラリー所属作家の小林孝亘さんにお世話になって、そして今、こうして「仕事」として西村社長にお会いできることに不思議なご縁を感じてしまいました。
舟越桂さんには、本プロジェクトの主旨(学生への教育的還元/地域に開かれた大学づくり)に共感いただき、「アイデンティティーの追求」をテーマに、なんと現在制作中で、2008年2月にNYのグリーンバーグギャラリーで発表予定の国内未発表作品5点を、先駆けて山形で出品してくださることになりました。そこにさらに、栃木県立美術館所蔵の初期の代表作2点と、作家所蔵の近作を加え、彫刻作品12〜15点の展観となります。この展示は、12月に京都造形芸術大学ギャラリーオーブにも巡回しますよ。
『舟越桂展 -他人の顔-(仮称)』
会期:2007年10月12日[金]〜11月10日[土]
開館時間:10:00〜18:00(会期中無休/入場無料)
会場:東北芸術工科大学7Fギャラリー
****
それから、オレンジ色の高尾行中央線快速に乗り、西荻窪のカフェで、グラフィックデザイナー立花文穂さんにお会いする。立花さんには今年度のアーティスト・イン・レジデンス招聘作家として、山形で滞在制作をお願いするとともに、『舟越桂展』のグラフィックワークも手がけていただけることになりました。立花さん、舟越さんという魅力的なカップリングが実現するのなら、ついでに何か実験的なアートブックが出版できないかと、赤々舍代表の姫野希美さんと思案中。こちらもご期待ください。
『TUAD ARTIST IN RESIDENCE PROGRAM 2007 -立花文穂-』
期間:2007年10月12日[金]〜11月11日[日]
会場:東北芸術工科大学図書館2Fガレリアノルド
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【4月16日:栃木県立美術館へ】
保存修復学科の藤原徹教授とともに栃木県立美術館へ。文化財保存修復研究センターが修復を依頼された3点の彫刻作品の現状調査に同行しました。学芸員の木村恵理子さんにご案内いただき、休館中の館内を行ったり来たり。
栃木県美は今年収蔵庫の耐震補強工事を実施するため、工事期間中は、修復を受ける作品だけではなく、その他の彫刻もセンターの収蔵庫に預かることになりました。収蔵庫で舟越桂さんの初期の代表作2点に遭遇し、10月の舟越展と奇跡的なコミットが決定! そして、僕が敬愛してやまないデヴィット・ナッシュのコレクションも預かることになり、秋の展覧会は国内外の優れた木彫作品が山形に集まることになりました。
『栃木県立美術館所蔵彫刻コレクション展』
日時:2007年10月12日[金]〜11月11日[日]
会場:東北芸術工科大学図書館スタジオ144+ガレリア・ノルド、文化財保存修復センター4階展示室
出展作品:アンディー・ゴールズワージー(英)/神山明/清水九兵衛/デヴィット・ナッシュ(英)/ニアグ・ポール(英)/戸谷成雄/深井隆/ユン・ソンナム(韓)etc.
宮本武典(美術館大学構想室学芸員)
2007.04.29:
miyamoto
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■写真下:栃木県立美術館の収蔵庫にて、本学の文化財保存修復研究センターが修復を受ける作品について打ち合わせ。彫刻の修復家として活躍する藤原徹教授(左)と、栃木県美学芸員の木村理恵子さん(右)。中央には舟越桂氏の初期の傑作「風をためて」と、奥にはイギリス現代美術の巨匠デヴィット・ナッシュの無骨な木彫群が見える。いずれも秋に芸工大で公開予定。
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芸工大周辺に植樹されている細身の「大山桜」は、見頃は過ぎたものの、キャンパスにはまだ少し桜色の余韻が漂っています。暖冬の影響か、ずるずると冷気を引きずっている山形では、未だに上着なしでは朝夕は辛いですが、学食の混雑と、新入生たちのフレッシュな装いに、すっかり卒展後の憑き物が落ち切った「春」を実感する毎日です。大学に残った僕たちも、再出発です。
さて、デザイン工学部に新しく着任された先生方の仕事を紹介する展覧会『New face at TUAD』が、先週クローズしました。マルチに活躍するアーティスト・中山ダイスケさんや、写真家・屋代敏博さんの教員就任は、コンテンポラリーアート界ではちょっとしたトピックスであるはずですが、肝心の芸工大関係者(学生+職員)がその事実に気がつくのはもう少し先でしょうか。
7名の先生方は、とても意欲的にショーに参加していただきました。学生の関心も高く、学内向けの展示のわりに、2週間で約1,700名の入場者数を記録しました。地元メディアの取材も多くて、僕も簡単な解説を依頼され、2回もテレビ出演しました。昨年、ちょうど同じ時期に松本哲男学長の大規模な個展『松本哲男展-鼓動する大地-』を開催し、こちらも大好評だったので、新春の「顔見せ」的企画展は恒例になりそうな予感です。
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今年度も美術館大学構想室は様々なプロジェクトに挑戦します。4月一杯は、出展交渉とスケジュール調整のため日本各地を飛び回っていました。2007年度のラインナップがほぼ確定してきたところで(詳細はおいおいメインHPにUPしますが)ここで、ここ最近の動きと年間のコンテンツを数回に分けて紹介しておきます。
まずは今年一番の目玉から。
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【4月10日東京・西村画廊】
日本橋の老舗現代美術ギャラリー西村画廊へ。秋の企画展にお招きする彫刻家の舟越桂さんと、美術館大学構想プロジェクトリーダーの酒井忠康先生、そして西村健治社長とミーティング。西村画廊でアルバイトをさせていただいたのはムサビ院生時代で、もう10年以上も前のことです。その後、4年間を過ごしたタイのバンコクでは、ギャラリー所属作家の小林孝亘さんにお世話になって、そして今、こうして「仕事」として西村社長にお会いできることに不思議なご縁を感じてしまいました。
舟越桂さんには、本プロジェクトの主旨(学生への教育的還元/地域に開かれた大学づくり)に共感いただき、「アイデンティティーの追求」をテーマに、なんと現在制作中で、2008年2月にNYのグリーンバーグギャラリーで発表予定の国内未発表作品5点を、先駆けて山形で出品してくださることになりました。そこにさらに、栃木県立美術館所蔵の初期の代表作2点と、作家所蔵の近作を加え、彫刻作品12〜15点の展観となります。この展示は、12月に京都造形芸術大学ギャラリーオーブにも巡回しますよ。
『舟越桂展 -他人の顔-(仮称)』
会期:2007年10月12日[金]〜11月10日[土]
開館時間:10:00〜18:00(会期中無休/入場無料)
会場:東北芸術工科大学7Fギャラリー
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それから、オレンジ色の高尾行中央線快速に乗り、西荻窪のカフェで、グラフィックデザイナー立花文穂さんにお会いする。立花さんには今年度のアーティスト・イン・レジデンス招聘作家として、山形で滞在制作をお願いするとともに、『舟越桂展』のグラフィックワークも手がけていただけることになりました。立花さん、舟越さんという魅力的なカップリングが実現するのなら、ついでに何か実験的なアートブックが出版できないかと、赤々舍代表の姫野希美さんと思案中。こちらもご期待ください。
『TUAD ARTIST IN RESIDENCE PROGRAM 2007 -立花文穂-』
期間:2007年10月12日[金]〜11月11日[日]
会場:東北芸術工科大学図書館2Fガレリアノルド
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【4月16日:栃木県立美術館へ】
保存修復学科の藤原徹教授とともに栃木県立美術館へ。文化財保存修復研究センターが修復を依頼された3点の彫刻作品の現状調査に同行しました。学芸員の木村恵理子さんにご案内いただき、休館中の館内を行ったり来たり。
栃木県美は今年収蔵庫の耐震補強工事を実施するため、工事期間中は、修復を受ける作品だけではなく、その他の彫刻もセンターの収蔵庫に預かることになりました。収蔵庫で舟越桂さんの初期の代表作2点に遭遇し、10月の舟越展と奇跡的なコミットが決定! そして、僕が敬愛してやまないデヴィット・ナッシュのコレクションも預かることになり、秋の展覧会は国内外の優れた木彫作品が山形に集まることになりました。
『栃木県立美術館所蔵彫刻コレクション展』
日時:2007年10月12日[金]〜11月11日[日]
会場:東北芸術工科大学図書館スタジオ144+ガレリア・ノルド、文化財保存修復センター4階展示室
出展作品:アンディー・ゴールズワージー(英)/神山明/清水九兵衛/デヴィット・ナッシュ(英)/ニアグ・ポール(英)/戸谷成雄/深井隆/ユン・ソンナム(韓)etc.
宮本武典(美術館大学構想室学芸員)