つれづれなるままに

▼2月1日(日)     執筆中

今「原価公開」に関する本を執筆中です。

その一部を公開してみます。




アメリカで家を建てたいと思う人は、まずホームセンターや書店などでホームプラン集を自分で買ってきます。
ホームプラン集には200から500種類ほどのプランが入っていて10ドルぐらいで何種類ものプラン集があります。


そして、その中から自分の気に入ったプランを選び、そのプランの設計図や仕様書など、家を建てるのに必要な図書を一式購入します。

金額的には2万円ぐらいから5万円ぐらいで簡単に手に入るのです。

その住宅で必要とする建築材料のリストと、数量を積算した内訳明細書も2万円程度で取り寄せることが出来ます。

プランの間取りなどを一部変更したいときは、第二原図を5割増程度で手に入れることができますから、トータルで10万円もあれば必要な図面や内訳明細書がそろいます。


注文住宅のことをアメリカでは「カスタムハウス」と言いますが、アメリカでは住宅建築工事費の4〜9%ぐらいが設計費用として一般的です。


次は、その設計図をホームビルダーに渡します。

ホームビルダーは大工さんや基礎屋さんなど、それぞれの職人の組合からその現場に必要な人数を現場に派遣し、彼らを指揮して家を建てていくのです。

アメリカには日本のように何層もあるような下請け構造はありません。

アメリカのホームビルダーは、スーパーバイザー(現場監督)が何十戸もの住宅を直接監督して家を建てていきます。

現場監督といっても日本のように工事の内容が設計通りに出来ているかをチェックするのが仕事ではなく、現場の工事が「限界工程計画」通りの段取りで確実に進んでいるかどうかを指揮するのが仕事なのです。


工場で仕事が分業化と流れ作業によって大幅に生産性を上げることが出来るようになりましたが、アメリカでは、住宅の建築現場でもこの考えを導入して分業化と流れ作業で高い生産性を上げるようになったのです。


その元となる考え方がCPM(限界工程計画)と呼ばれるものです。
これを利用して建築工事を分業化して、200uほどの住宅なら必要な人手は500人時間で建てられるのです。

それが日本の場合には1500人時間と3倍はかかります。
様々なムダやムラがあるからなのです。


アメリカの監督は作業する人たちが、無駄な時間を費やさないような環境や工程を組みます。

建築資材なども日本では職人が来ても材料が搬入されてないと職人の手間賃がムダになると考えて、材料を早め早めに入れようとしますが、建材などは現金が姿を変えたものだから、現場に無駄に置かれた時間は金利がかかるとアメリカでは考えるのです。


そうやってCPM工程管理をして徹底して無駄を省くように努力をしています。



その上、住宅価格が日本と違って安いのは消費者がホームセンターなどで建材を直接買ったり出来るので価格を知っていることが大きなポイントです。


消費者が有効に家づくりの予算を使おうとするには、当然流通まで関心を持ちます。

アメリカのホームセンターは自分で改築する一般人もターゲットにしていますが、専門の建築業者にも販売しています。

専門業者には当然価格は安く売っています。

しかし、極端な価格差ではなく、一般消費者向けの価格から10%から20%引きで販売されているのです。


アメリカでは小規模なホームビルダーの材料仕入れ価格と、一般の方が購入する建材の価格は10〜20%しかないのです。いかに消費者パワーが強いかということでしょう。


一般の消費者がDIYで直接購入する量が大きいので、その消費者向けに建築資材市場が作られてきたのです。

日本のように何層も流通経路があるのではなく、建材の流通がメーカーからホームセンターに直結するような流れが出来たのは、消費者の良いものをより安く買いたいという願いが大きかったからなのです。


そのうえアメリカのホームビルダーは、建材などを自分達が買う場合、消費者が買うのと10〜20%ぐらいしか違わなくてもそんなに気にしません。


それはホームビルダーの考え方に、資材の購入するときに資材から利益を得ようと考えていないからなのです。


あくまでも自分達は建設業者であって流通業者ではないという認識が当事者もそうですが社会においても広く認識されているからなのです。


ホームビルダーが施主に提出する見積書には材料費は仕入れ価格で表示して、それに利益を加えようとしません。


ホームビルダーは、消費者より少しでも安く買えるということを、逆に自分達を使うメリットと説明できるのです。


自分達を使ってくれれば資材を安く手配できるよというのが彼らの売り込み文句なのです。


日本のように仕入れ価格に逆に利潤をのせるという考えは無いのです。



アメリカのホームビルダーの特徴は、基本的に建設技能者を抱えていません。
工事のつど、その地元の建設技能者に声をかけるという形態です。

その方が、固定的な経費がかからないので経営的に経済的なのです。

技能者はホームビルダーに声をかけられてその下で働いているのですが、意識的にはその地域で仕事をしているということを強く意識しています。

雇用してくれているホームビルダーの下で働いているという考えと共に、自分のエリアで働いているという意識が強く働いていて自分の地元なのですからいい加減な仕事は出来ないという意識が強いのです。


それはホームビルダーそのものもそうで、基本的には地域社会における信用をとても大切にしなければ社会的には成り立たないのです。


地域に根ざしたホームビルダーですから地縁を大切にし仕事をするので、巨額の広告宣伝費なども必要なくそのエリアでの信用で成り立つのです。
ですからアメリカには日本のような巨大なハウスメーカーというものが存在しないのです。



まだ途中ですが。

画像 ( )
2009.02.01:mukai

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