白鷹町 | みゆき整形外科クリニック

▼介護老人保健施設白鷹あゆみの園開設10周年

7月1日で介護老人保健施設白鷹あゆみの園は開設10周年を迎えました。その記念式典・祝賀会が7月6日パレス松風で、盛大に行われました。参加していただいた皆様方には、誠にありがとうございました。おかげさまでつつがなく盛会に終わることができました。皆様のおかげで今後の10年に向けてまた頑張ろうという気持ちがわいてきました。昨日の式典で私が、あいさつで話した要旨をお呼びできなかった方々にも伝えたいと思い、忘れないうちにここに文章にして載せさせていただきます。
白鷹あゆみの園は平成16年7月1日に介護老人保健施設としては山形県で初めての全室個室の施設として開設しました。この10年間、白鷹あゆみの園には「個室だからあそこは料金が高いんだ。」とか「大部屋のほうがにぎやかでいいだろ。」とかの陰口がいつも聞こえてきました。そこで、ここであらためて全室個室の理由を述べさせていただきます。
平成7年から8年にかけて、京都大学工学部教授の外山義氏が、ある特別養護老人ホームで6人部屋の天井にテレビカメラを設置して入所者の行動を1日定点観察した研究があります。すると、1日の間にその部屋の入所者はお互いに全くと言っていいほど会話はなく、窓側の人は1日窓側を向き、真ん中のベッドの人は1日上ばかり向いて過ごし、部屋の入り口側の人は1日入口のほうを向いて寝ており、挙句の果てに入り口側の人は入り口から出て行って徘徊を始めるという結果になりました。その後、その特別養護老人ホームの隣に全室個室の建物を新しく作り、入居者に全員そちらに移ってもらうと、以前は日中の6割以上をベッドで過ごしていた入居者が、個室にするとベッドにいる時間が2割以上減り、リビングで過ごす時間が約3倍に増加しました。こういった研究から、人間には冒されたくない個の空間があり、それが重なると個の空間を確保しようとして横を向いたり上ばかり向いたり徘徊したりし、個室にして個の空間を確保してあげると安心して、外界に関心が向き活動性が高まるという事がわかりました。
私は直接、外山教授からお話を聞き、また、全室個室ユニットケアで有名だった千葉県の特別養護老人ホーム「風の村」を町職員の方達と一緒に視察し、介護老人保健施設も全室個室だと確信しました。施設建設中に介護保険法改正で、白鷹あゆみの園はユニットケア方式の施設基準には合わないとの事で従来型個室という認定を受けたのは痛恨の極みでした。しかし、入所者の方の生き生きとしたお顔を見ると私は今でも全室個室にしてよかったと思っております。
 今後国は在宅をさらに強力に進め、6月に成立した地域医療・介護総合確保推進法では、来年からは特別養護老人ホーム新規入所者は原則要介護度V以上と厳格化するようです。人口が15000人以下になり、3人に1人が65歳以上の高齢者である白鷹町にはこれ以上、在宅で要介護者をみる能力があるとは思えません。白鷹あゆみの園は行き場のない介護難民の受け皿となるべく、また、増加する一方の要介護認知症の方のお世話をするためにも体制を整え、施設を拡充していきたいと思っております。

2014.07.07:miyuki-cl

HOME

(C)

powered by samidare