目加田経営事務所

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私の大学の先輩で沖縄国際大学の社会学の名誉教授である、石原昌家氏の著書「空白の沖縄社会史」(晩聲社刊)によると、沖縄・八重山群島のひとつ与那国島では、明治時代に宮崎県人によりカツオ節製造が始まり、戦後まで大いににぎわい、一大貿易拠点となっていました。
そこでは、私製紙幣が流通しており、税金も私製紙幣が通用したとか。
距離にして100Km程度しか離れていない台湾の通貨も当たり前に流通しており、その後、アメリカ占領後はドル、B円、円と通貨も大きく変化しました。法律はあっても辺境にまで及んでいなかったため、ある種の混沌が支配していたようで、めまぐるしく移り変わる行政の変化にしたたかに順応していた時代が描かれています。戦前、戦後の台湾は蒋介石ら外省人が支配するころに当たり、権力構造が激変したのです。
それまでは普通のビジネスだったのものが、国境ができることで合法が非合法となり、自然と密貿易圏を形成することになりました。アメリカ軍政府と琉球政府が戦後の混沌から落ち着きを取り戻したころには影をひそめて、それまでは不夜城のごとくにぎわった与那国島も人々が去り、静けさを取り戻したようです。
密貿易関係者の宿舎や倉庫に大金を投資しても、数か月で元がとれるぐらいの活況で、儲ける人はとんでもない利益を手にしていたことが証言から裏付けられています。

その人たちが、今はどうしているかは分かりませんが、沖縄の経済界であまり名前を聞かないことからすれば、あぶくのごとく生まれ、消えていったように思います。
これらのことから、経営とは何か、利益とは何かを考えてしまいます。基本は存続することが一番大事で、利益はそのための存続費用だと思います。
100年、200年、300年と時を重ねて、歴史とともに時流に合わせつつも、本来の理念を継承できる企業ことが本物企業です。
ブームに乗って、一過性の利益に胡坐をかいて、存続のための準備を怠ってしまっては、社会の公器たる企業の使命を果たすことはできません。

現代はギリシャ危機に代表されるように、ユーロ圏は危機的状況にあり、そのユーロ市場に活路を見出していた国々は、一様に景気減速に巻き込まれています。アメリカも元気がなく、中国も不安定。
国内の政情も不透明。このような激動の時代に生きる上において、沖縄の辺境で起きた空前の経済発展と衰退は一つの気づきを与えてくれているのではないかと思います。
どのような環境にあっても、企業が存続し、発展し続けるには何が必要か、今一度、考えてみようではありませんか。
2012.06.15:目加田博史:count(566):[メモ/レポート]
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