目加田経営事務所

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人は成長するに従って、内面の充実が求められます。リンカーンが大統領時代のある時、友人からある優秀な人物を採用してくれるよう依頼されたことがありました。
さっそく、リンカーンがその人と面談しました。紹介者の友人が「どうだ、彼は優秀だろう」と言いましたが、リンカーンは断ったそうです。理由を問われて、「人は40にもなれば顔に責任を持たねばならない。彼にはそれがない」と言ったそうです。
内面の充実が相として外面にでる。顔には人相、顔相、手には手相、肩には肩相、背には背相として、ありとあらゆるところに出てきます。それはオーラと呼ばれる場合もありますし、存在感と呼ぶ場合もあります。外面をいくら整えても、内面の不足は化粧することはできません。電車やバスの中で化粧しているような方は外面すら充実しないで人前に出ているのですから、内面は言うにおよばないでしょう。

会社も同様に内面の充実が外面に出てきます。会社の内面とは、特に社長、経営幹部の人間力のことを言いますが、これら経営陣の内面が充実している会社は、おのずと社風として社員や関係者を感化し、成長させてゆく力を持っています。
それが言葉になったものが、経営理念、企業理念、社訓と呼ばれるものです。同じ経営理念でも、まず、言葉ありきで、それを社風にする場合もあれば、言葉になっていないけれど社風として社内に浸透している考え方を文書化したものもあります。いずれも、全社員に浸透するところまで徹底していることが重要です。
イギリスの憲法ともいえる大憲章マグナカルタは1225年のものが現在でも有効な理念として使用されています。先祖代々の掟ともいえる家訓も理念の一つです。数百年続く老舗企業も家訓を判断基準のもととして大事にしていることからも、時代を超えて脈々と続く考え方を持つことは企業経営を考える上で、極めて重要といえます。近江商人の「三方善しの経営」もこれにあたるでしょう。

不易と流行という言葉があります。易とは変化を意味します。したがって、不易は変わらない、変えてはいけない、継承する価値があるという意味です。流行は文字通り変えなくてはならない、時流に適応することを意味します。経営方針は時流適応型の典型です。経営理念は会社経営の判断基準であり、不易の代表です。この2つが相まって経営マネジメントがうまくゆきます。不易の代表である、経営理念も、思いや考え方は変えてはなりませんが、定期的にブラッシュアップして、時代に通用する表現に変えなければ通用しなくなります。古色蒼然とした「ござそうろう文」ではいくら家訓、経営理念といっても浸透しません。本質を充実発展させつつ、表現は現代的にアップデートすることです。
内面の充実は人間力の充実であり、それを体系化したものが人間学といえます。
2012.06.15:目加田博史:count(649):[メモ/レポート]
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